第13話10年間

 あの日から、約10年ほどたった。ここ10年で起こったことは、教国でスタンピードがあったくらいだ。


 この10年間で、俺はいろいろなことをした。


 まず、6歳のときの思い出は、マリアと修行をした事ぐらいしか、記憶にない。マリアの修行は、傍から見ればいたって普通だ。ただ走ったり、戦ったりしているだけにしか、見えないからな。本当は、俺に重りをつけて修行させていた。見分ける力が高いのか、あいつは重りになれる前に、また重りを重くしてくる。そして、俺が転ける所を見て、ゲラゲラ爆笑してた。いつかあいつに、しかいしをすると決意した。


 7歳になって、やっと魔法の修行をすることになった。けど、この訓練も酷かった。重りをつけた状態の俺に向かって、魔法をバンバンうってきた。避けるのも、魔法の修行だーとか言ってやがった。だから、魔法に当たっても痛くないのかと思ったら、当たったら死ぬぐらい痛かった。また、あいつはゲラゲラ爆笑してた。その時は、初めて殺意がわいた。


 8歳には、魔物がいる森に1週間放置された。ひと月に、家にいられたのは、1週間ぐらいだった。8歳の時は、メリルと一緒にいられる時間が極端に減った。そして、またタチが悪かった。いきなり連れて行かれるのだ。準備もなしで。準備をしても持っていかせてくれなかった。酷い時は、寝てる最中に森に連れてって起こさずに、放置しやがった。この時は、さすがやばいと思った。案の定、あいつは、ゲラゲラ爆笑してた。


 9歳のときは、自分の体重の10倍の重りを四六時中付けさせられた。これでは、身長が伸びないと言ったら、「妾より大きくなることは、許さん。」とかいいながら、魔法をうってきた。これって、八つ当たりじゃないのか? その後になって、国王陛下達から聞いたのだが、セルフィア教国の、九聖剣に会って散々、チビとからかわれたらしい。本当に、八つ当たりだった。いつか、あったらもっとやって欲しいと、お願いすることにした。


 10歳は、冒険者登録をさせられた。もちろん、冒険者登録をした時と、依頼を受ける度に絡まれていた。絡んでくる冒険者は、大抵弱かった。1ヶ月くらい、絡まれていたが、ある日を境にパタリと無くなった。顔を隠すために、仮面を付けていたのだが、裏では仮面の悪魔だとか、無慈悲な仮面などなど、色んな2つ名があった。これを聞いた、メリルは喜んでいた。もちろん、マリアはその2つ名を聞いて笑い過ぎて、過呼吸になって泣いていた。そのまま、逝けば良かったのに。


 11歳の時に、初めて国外に行った。一緒にメリルも来てくれた。考えて見れば、久しぶりに、メリルと一緒に出かけた。マリアは、国外に国王陛下の許可なく行くことが出来ないので、悔しがってた。隣では、何故かメリルが誇らしくしていた。その頃には、マリアの身長を抜いていたので、マリアにチビと言って逃げるように、国外へ行った。帰ってきた時は、マリアのサンドバックになったのは、言うまでもない。


 12歳になった時、マリアの仕事を見てみたが酷かった。陛下が、仕事をしている時に、あいつはお菓子を食べてたり、寝てたりしていた。宰相のセルロスに聞いたのだたが、年に1回ある、九ヶ国会談の時と、陛下が、王城の外に行く時以外は、やることがないそうだ。けど、護衛対象をほかって寝るのは、どうかと思う。


 13歳のときに、久しぶりに母さんのところに行った。もちろん、たまには帰っていたが、長期間と言うのは、なかった。メリルと何故かマリアがいたが、歓迎されてた。いつもは、忘れてたけど、こいつ九聖剣の1人だった。滞在中は、母さんの仕事を片付けたり、魔法陣の研究をしていた。あと少しで完成なのだが、魔法陣に、人の脳と同じことをさせようと下が、全て失敗した。


 14歳は、王室で陛下が仕事をしている時に、目の前でマリアと、お菓子を食べたり、遊んだりしてただけだった。なんだかんだ言いながら、マリアと同じことをしてしまったことは、反省している。あとは、やっとルダン侯爵が、動き出した。何をしようと、しているのか、まだ分からないが、確実に良からぬことを、考えているのは、わかっている。


 15歳になってからは、ほとんど勉強しかしていない。来年から、学園に通うからだ。学園に、入るには国語、算数、歴史、地理、魔法学の5つの座学と魔法と、剣の試験もある。クラスは、いいクラスから順に、S、A、B、C、Dとなっている。もちろん、みんなSクラスを目指すのだか、1年そこら勉強しただけでは、入れない。普通なら。学園は、平民と貴族の差をなくして、いるらしい。もちろん、貴族が権力を使おうとしても、王命で行使出来ない。もちろん王族もだ。俺は身分を隠しているので、平民のレクスとして受ける。ここには、ルダン侯爵の息子も受けるそうだ。落ちればいいのに。


 そして、今日はアルセラン学園の受験の日だ。他の子供達は、緊張しているだろうが、俺は全くしていない。


 「レクス様、筆記用具は持ちましたか?」


 「持ってるよ。」


 「お弁当も、持ってますか?」


 「あぁ。」


 「レクス様なら大丈夫だと思いますが、頑張ってくださいね。」


 「あぁ。それじゃ行ってくるよ、メリル。」


 「はい、行ってらっしゃいませ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る