第10話襲撃と暴走

〜〜〜〜〜〜〜〜said襲撃者〜〜〜〜〜〜〜〜



 ここは、バリステル領と王都を繋ぐ道。バリステル領から王都までは、馬車で約9時間かかる。バリステル領から、5時間たったところに、30人の襲撃者がいる。


 「お前達、明日はバリステル領から来る、バリステル当主とその子供を殺す。まず、手始めに魔物達に、襲われて疲弊している所を、襲撃する。標的を仕留めたら、すぐに引く。深追いはするな! 分かったか? 」


 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 「それでも、標的を撃てない場合は、デスフロッグからとった毒を躊躇なく使え。いいか、明日が勝負の日だ。それまで英気を養え。」




〜〜〜〜〜〜saidレクスリア〜〜〜〜〜〜〜〜



 はぁ〜。今日は、憂鬱だ。王都までバリステル領から、約9時間かかるので、馬車の中でやることがない。それにもうひとつ、いやなことがある。それは、ドレスを着て馬車の中を過ごすことだ。魔法陣の書いてある本を、5冊買ってもらえるとはいえ、女子の着るドレスを着ることは、抵抗がある。


 そう言えば、ゴブリンを7体倒したおかげで、レベルが上がった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 レクスリア・バリステル LV2 男 5歳


 種族:ヒューマン


 適正:無 火 水 雷 氷 光


 体力:A   魔力量:S


 筋力:C   魔力:A


 俊敏:B   知性:A


 幸運:C


 スキル: 学習IV 身体強化Ⅴ 剣術Ⅴ 短剣術Ⅱ 


 弓術Ⅰ 魔力操作Ⅵ 火魔法Ⅱ 水魔法Ⅱ 雷魔法Ⅲ


 氷魔法Ⅱ 光魔法Ⅰ



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 となっていて、魔法関連に関しては、光魔法以外スキルレベルが上がっていた。こんなに早くスキルレベルが上がることは、ないのだがその原因が昨日判明した。それは、今までスキルの効果が分からなかった、学習だった。このスキルの効果は


 学習・・・同じ行動をし続ければ、学習する。学習すれば、その行動が、最適化される。


 と言うものだった。思い返せば、心当たりはある。

騎士達との走り込みだったり、剣術だったり、尋常ではないスピードで成長していた。あれは、走ると言う行動だったり、剣を振ると言う行動だったりと、何度も同じ行動をとっていた。今では、魔法陣で作りたいものを作れないかと、試行錯誤している。



 馬車に乗って5時間近くたっているが4時間分くらいしか進んでいない。何故か知らないかが、30分おきに、魔物達がこの馬車を狙って来ているからだ。メリルの話しでは、ここまで多くの襲撃は、普通ないそうだ。今は、騎士達15人ぐらいで対応しているが、疲れが見え始めていた。



 「なぁ、メリル。これって大丈夫なのか? さすがに、初めて馬車で移動する俺でも、この頻度で魔物が、襲撃してくるのは、異常だと思うぞ。」


 「そうですよね。ここまで、多くの魔物による、襲撃は、スタンピードが、起こる可能性がありますね。」


 「スタンピード? なんだそれ?」


 「あぁ、スタンピードって言うのはですね、沢山の魔物達が、町や都市を襲撃することですね。」


 「そうなのか。ありがとう。」



 「襲撃だ!」


 っ、また魔物の襲撃か。


 「陣形を崩すな! 何としても、馬車を守りきれ!」


 「おいおい、魔物にしては慌ただし過ぎないか?」


 「そっちに盗賊が、3人言ったぞ!」


 「盗賊らしいですね。応援しに行った方がいいですね。」


 「それなら、俺も行くぞ。それなりには、戦えるからな。」


 「分かりました。ですが、危なくなったら、すぐに馬車に逃げてくださいね。」


 「分かった。」



 それから、30人いた盗賊は、着々と数を減らし、盗賊は15人、騎士達はレクスとメリル合わせて12人になった時、それは起こった。


 当主の乗っていた馬車に、岩が飛んで来て潰された。相手の方には、魔法使いが潜んでいたのだ。


 そして、今まさにレクスに、毒矢を放った時、メリルが気づいた。


 「レクス様!!!危ない!!!」


 ドン  


 メリルは、レクスを庇って毒の吹き矢に刺さった。


 その時、レクスは思った。何故メリルは、毒の矢に刺さったのか。俺を庇っったからだ。メリルは、このまま死んでしまうのか。そう考えた時、レクスの心に、初めてある感情が渦巻いた。それは、


           怒り


 メリルをこんなめにあわせたやつに、襲撃してきた盗賊達に、そして自分が相手を侮っていたことに、父やメリルを守りきれなかったことに。そこで、レクスの意識は、途絶えた。レクスの初めての怒りが、大きすぎて脳がキャパオーバーしたのだ。





 当主の乗っている、馬車に岩が飛んで来て潰された。そして、メリルが毒の矢に刺さり、レクスが倒れたはずだった。


 だが、レクスが倒れる寸前、レクスの左目に魔法陣が、浮かび上がっった。そして、レクスはよく分からないことを言い始めた。


<マスターの意識が消失。ただいまより、全権限を魔法陣に移行します。>


<移行完了。直ちに、メリルの解毒及び回復に移行>


<ハイキュア><ハイヒール>


<続きまして、盗賊達の殲滅を開始します。>


 それを見ていた、騎士達は悪寒が、走った。レクスの形をした、何かが盗賊達を次々に、殺していくことを。


 レクスは、矢を放ったやつと、魔法使いに向けて、

ウォーターランスを放ちすぐさまサンダーランスを放った。その直後、近くにいた盗賊2人に向けて、身体強化を施し、すぐさま首をきる。


 そして、走ってくる盗賊3人を、火の上級魔法インフェルノで焼ききる。


 盗賊達は、それを見て、任務の失敗を悟って逃げていた。だが、レクスはそれを許さない。今度は、氷の上級魔法ニブルヘイムで7人全員凍り付かせて砕いた。


<標的を1人ロスト。仕留めるのは不可能。>


<活動を停止します。>


 と言ってレクスのかたちをした何かは、そこに倒れた。

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