第9話襲撃の前日

 ステータスを鑑定してから約1ヶ月たった。明日からは、王都に向けて出発する。そのための荷物を用意しなければ、いけないのだが、今俺は、母とメリルの、着せ替え人形になっている。母は、父がいない時に、仕事を変わりにやるので、明日からは、領にお留守番だ。そのせいか、パーティーに着る服を選ばれている。


 「メリル、これはどうかしら?」


 「それもいいんですけ、こっちも捨て難いですね。」


 「そうよねぇ。素材がいいせいか、なんでもあっちゃうし。いっその事ドレスってゆうのはどうかしら?」


 「そうですよね。パッと見、レクス様って女の子に見えますもん。」


 「レクスは、パーティーでモテモテになるかもしれないわね。特に、男の子からだけどね。」


 「そうですよね。」


 「ドレスなんて、着ないぞ。」


 「まぁまぁ、そんなこと言わないの。もし着てくれたら、魔法陣のことが書いてある本、買ってあげるからね。」


 「それなら3冊で、今だけ着ます。」


 「それなら、5冊買ってあげるから、王都まで着てってね。」


 「うぐっ、分かった。」





 酷い目にあった。男なのに、ドレスを着ることになるなんて。だけど、魔法陣の書いてある本を、5冊はおいしい。これで、俺のやりたいことが進むかもしれないな。


 ストレス発散のために、魔物にでも、狩りに行ってくるか。




 「父上、ちょっと魔物を倒してきてもいいですか?」


 「どうしたんだ。いきなり。明日からの準備は、終わったのか?」


 「終わりましたが、着る服は、ドレスになりましたけど」


 「そ、そうか。なるほどな。魔物を倒しに行くのって初めてだろ。」


 「そうですね。」


 「なら、メリルと一緒に行ってこい。あと、フードはいつもどうりに、つけて行けよ。」


 「わかってます。では、失礼します。」




 さてと、メリルを探して、連れて行くか。セインにでも、聞いて見るか。



 「セイン、メリルがどこにいるかいらないか?」


 「メリルですか。今なら………調理場にでもいるんじゃないんでしょうか。」


 「そうか。ありがとう。」





 「メリル、今すぐ外に出る準備をしろ。」


 「外に出る準備ですか? なにか欲しいものがあるなら、買ってきますけど。」


 「いや、違う。今から、魔物を倒しに行くんだ。」


 「魔物ですか。でも旦那さまに、許可を取らないといけませんけど。」


 「許可なら、メリルが一緒に行くならいいと言っていた。」


 「そうですか。分かりました、少し玄関で待っててください。」


 「そうするよ。」





 「レクス様、何を狙って倒しに行くんですか?」


 「決まってない。適当に、歩いて会った魔物を倒す。」


 「なら、レクス様ここら辺にいて、弱い魔物は、スライムぐらいしかいませんよ。」


 「いや、スライムじゃなくて、ゴブリンぐらいがいい。」


 「単体ならレクス様でも勝てますけど、集団となると難しいんじゃないですか?」


 「そうならないように、行動するつもりだ。」


 「さっき適当って「言ってない。」いやいや、言って「だから、そんなことは言ってない。」はぁ〜、分かりましたよ。って言ってたら、ゴブリンがいましたね。」


 「そうだな。数は、3体か。なら1人で行けるな。手を出すなよ。」


 「危なくなったら、出しますからね。」


 「そうならないように、気おつけるよ。じゃあ、行ってくる。」


 「はーい。」


 どうせなら、3体同時に倒すか。火魔法は、木に燃えうつるかもしれないらか、却下。使うなら、水魔法か、雷魔法か、氷魔法だな。よし、決めた。


 「ウォーターボール」


 「「「グギャ! ギャグギャギャ」」」


 ゴブリンと、そのまわりを濡らしてから、


 「サンダーボール」


 「「「グギャァァァ」」」


 これで、ゴブリンは感電して、死亡と。あまり手応えがないな。これなら、メリルと訓練してた方がまだいい。


 「お疲れ様です。物足りないですよね。」


 「あぁ、そうだな。けど、なんでわかったんだ? 俺が、物足りないって思ったの。」


 「レクス様は、あまり自覚がないのですけど、ゴブリン5体までなら、魔法を使わずとも、騎士1人で十分ですから。レクス様は、3人の騎士と戦っても、余裕をとって持って勝ってますから。」


 「そうなのか。なら、次は魔法無しで、剣だけでやってみるよ。」


 「そうですね。ならさっさと、探しますか。」




 「今度は、4体だな。」


 「前回より、1体多いですね。」


 「あぁ、だから各個撃破するよ。じゃあな。」



 ゴブリンの、背後から静かに近ずき、1体目のゴブリンの首を落とす。


 「「「グギャ?」」」


 すかさず、近くにいるゴブリンの心臓目掛けて、突く。そして素早く、2体のゴブリンから距離をとる。状況を理解したのか、ゴブリン達も棍棒を構える。左から棍棒を振り上げながら、突っ込んできたゴブリンを、サイドステップでかわして、首を落とす。すかさず、右のゴブリンも棍棒で攻撃してくるが、レクスは、全ての攻撃を見切ってギリギリでかわす。ゴブリンは疲れてきたのか、レクスから一旦離れて、休もうとするが、レクスはそれを許さない。距離を詰めて、棍棒目掛けて、攻撃を繰り返す。ゴブリンの手が緩んだところに、レクスは勢いよく剣を振り上げて、棍棒を弾き飛ばす。そして、すぐに振り下ろしてゴブリンをきる。これまでの戦闘で、レクスがかけた時間は、約1分程度。


 「レクス様、流石です。けど、魔物の後処理は、しっかりやってください。しなかったら、アンデッドになる可能性があるので。先程のゴブリンは、処理しておきましたので。ゴブリンから取れる素材は、ないので、今回は、火魔法で燃やしてください。」


 「そうなのか。それは、すまなかった。」


 その後、レクス達はゴブリンを燃やして帰っていった。

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