第7話動き出すもの達



〜〜〜〜〜saidアルセラン王国闇〜〜〜〜〜〜


 ここは、アルセラン王国の首都アランのとある家の中。そこには、色々と装飾品を身に着けている者と、黒色のローブとフードを着けた者が話し合っていた。


 「作戦の準備は、どんな状況なのだ?」


 「まず、第1段階のバリステル家の当主とその長男の暗殺ですが、1年後の王城で開かれるパーティーに行くために、バリステル領を出てから少したったところで、襲撃をします。」


 「ほう、それで?」


 「公爵の乗る馬車に、魔物寄せの薬を塗って置きます。もちろん、無色透明で、匂いがあまりしないものを用意します。そのまま、魔物に殺されればそれでよし。もし生き残っても、疲弊したところを、盗賊にふんした騎士達に襲わせます。それでも無理そうな場合は、毒の塗った吹き矢を当主とその長男に打ち込んで殺します。」


 「それくらいの作戦があれば万が一もないだろう。」


 「第2段階の、王城襲撃及び国王の暗殺ですが、こちらは、あまり芳しくないですね。王城襲撃をして、王城を混乱の渦に落としても、国王にはあの専属護衛、九聖剣の魔女と呼ばれている彼女がそばにいますから、どうやって国王と魔女を引き離すかにかかってます。ですが、その方法が無くてですね。行きず待っているんです。」


 「そうだな、確かにあの魔女は厄介だ。あやつが国王のそばにいては、暗殺も何も出来ないだろう。だが、あの魔女がでないと行けない相手となると、数は限られてくるか。いや、いっその事、王城襲撃者に九聖剣らしき人物がいると、でっち上げればいいんだよ。そうすれば、あの魔女も国王と離れるだろう。」


 「それも考えましたが、九聖剣達は、王の周りから、余程のことがない限り、離れることは、ないので無理では、ないかと。」


 「はぁ?! それなら、九聖剣並に強いものがいて、手に負えないとでも言えばいいだろ!!! それぐらい考えろ!!! ほんっとに使えんな! もういい下がれ。」


 「はっ、申し訳ありません。失礼します。」



 「あと少し、あと少しで私は、王になれるんだ。」



 だが、この者達は知らなかった。レクスの恐ろしさに、レクスの冷徹無慈悲さを、レクスの身内に手を出した時、何年もかけて復讐する執念深さを。





〜〜〜〜〜saidとある森の奥深く〜〜〜〜〜〜



 ある森の奥深くに、それは生まれ。それも見たものは皆、それに食われている。それを見たものは皆、発狂して気絶する、そこに人も魔物も関係ない。なまじ力があるものは、気絶することなく、意識をもったまま食われていく。それに慈悲などない。それは自分の欲望を満たそうと行動するだけだ。


 また、今日もそれに魔物は食われていた。いつしかそれは、魔物の魔人の王、魔物や魔人も恐れる王、魔王として言われるようになっていく。だが、それに仲間意識などない。それが思うことはひとつ


 (喰いたい。もっともっと喰いたい。喰いたりない。もっともっとだ。喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい)



 何年たった頃だろう。それは物足りなくなった。少しづつ少しづつ森の浅瀬に来ていた。少しづつ人を、魔物を、魔人を喰らおうとするそれは近づいてきた。だが、今は誰も知らない。誰も恐れるそれが、少しづつ少しづつ近づいて来ていることに。





〜〜〜〜〜said帝城のとある一室〜〜〜〜〜〜




 そこにいたのは、身体中傷だらけの護衛、そしてその横に座っている者と、1人の魔法使いだ。



 「まだなのか?」


 「はい。あと10年以上は、かかるかと思います。」


 「たかだか、召喚魔法陣を作るのにいつまで、かけるつもりだ? もう30年は、たってるぞ。それなのに、あと10年だと? 笑わせるな!!!」


 「ひぃぃ、も、申し訳ございません。ですが、我々も寝る間も惜しんで全力でやっております。どうかどうかもう少しの辛抱を。」


 「この俺をどれだけ待たせるつもりだ!!!」


 「ひぃぃ、申し訳ございません、申し訳ございません。」


 「まぁまぁ、帝王さぁまぁそこまで威圧すると、そいつここで気絶するぜ。」


 「あぁ、わかっている。さっさとひけ。」


 「申し訳ございません。失礼します。」


 「ちっ。どいつもこいつも役立たずばっかだ。」


 「だがよぉー、そんなに大事なのか、勇者ってあつぁよ。そんな、使えるかどうかわからんやつより、兵隊を集めた方がいいんじゃねぇーか?」


 「そんなことしてみろ。すぐに周辺国に、バレるだろ。それに、勇者は神と互角に戦ったていう、伝承があるんだよ。」


 「けどよぉー、そんな不確定のものじゃなくて、確定してる方がいいんじゃねえのかよぉー。まぁ、俺は強いやつと戦えればいいんだがな。」


 「ふん。なら黙ってろ。」


 「わかったよ。つまんねぇな。早く出来ないかねぇー。」

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