第5話訓練(剣と短剣と弓)
騎士達との訓練? をし始めてから1ヶ月たった。最初の2週間は、ただ単に走る量を増やしただけだ。だが、3週間目からは、身体強化を使って走っていた。初めは、転ぶことが多かったが、だんだん慣れてきて前より早く走れるようになってきた。最後の1週間は、どれだけ時間をかけずに多くの量を走れるかをしていた。まぁ、途中からは騎士達とやらず、1人で黙々と走っていた。
なぜか分からないが、走ることや身体強化をすればするだけ、どういう姿勢で走るのかとか身体強化をどういうふうにかければ最適かなどが分かるようになった。
メリルや騎士達に聞いてまわったが、普通はそんなに早くないそうだ。普通なら、そうなるのは1ヶ月くらいずっとやらなければ、ならないらしい。
そんなことは置いといて、今日で1ヶ月たったから剣を振れるようになる。ただ、騎士が振っている鉄の剣は、子供には重いため木剣でやるそうだ。最初は、しっかり振れるようになるまで、素振りと言っていた。
試しに鉄剣をもってみたが、持てると言えば持てるが、それ以外何も出来なかったので、大人しく木剣を使って素振りをすることにした。
「最初は、剣先を相手に向けて構えてください。この構えは正眼の構えと言って、攻撃するにせよ防御するにせよ、この構えを基点とすることで戦闘中に発生する様々な状況の変化に対してすぐに対応できます。」
「ちょっとキツい。」
「当たり前ですよ。剣の重心が身体から離れてますから、腕にかなりの負荷がかかりますから、初めて剣を持った人には、辛いと思います。」
「そうなんだ。で、このあとはどうするんだ?」
「はい、この後は剣振り上げから、振り下ろしてください。でければでいいですが、振り下ろした時に剣止めてください。そうすれば、腕に負荷をかけられますから、それを決められた回数、繰り返してください。最初は100回数ぐらいにしておきましょう。」
「それだけでいいのか。」
「あっ、でもあんまり姿勢を崩さないようにして下さい。」
「姿勢が崩れると何がダメなんだ?」
「熟練した人ならいいのですが、初心者がやると、変な癖が着いてしまって弱点になってしまうこともあるからです。あとは、慣れてきたら、右から振り下ろしたり、左から振り下ろしたりと、少し変えてやって見てください。ですが、姿勢はしっかりしてください。」
「なら分かった。つまり、初めの頃は、アレンジすんじゃなくて、しっかりとした姿勢振れってことだな。」
「はい、そうです。自分はあっちで他の者達と訓練してますので、何かあったらいつでも呼んでください。では、失礼します。」
やっぱり初めてなのか、結構キツいな。身体強化を使ってやれば、出来ないこともないが、それだと筋力はつかないよな。それに、やりすぎも良くないと、これじゃあ慣れるまでまた、走り込みをするしかないか。100回なんてすぐに終わってしまう。そう上手くは行かないよな。
「レクス様ー」
「ん? なんだメリル。何かようか?」
「レクス様素振りは終わりましたか?」
「素振りなら終わったぞ。今は何をするか、考えていた所だ。」
「それなら、今はお暇ですね。」
「暇と言えば暇だが、何をするんだ?」
「えぇとですね、今から訓練をしようかと思いまして。」
「訓練って短剣か弓か?」
「はい! そうです。レクス様ならすぐに終わってしまうと思いまして。」
「そうか。なら今から何をするんだ?」
「その前に、レクス様。短剣や弓に必要なことは何か分かりますか? 」
「短剣や弓に必要なこと? …………速さか?」
「なんで、速さが必要なことだとお思いに?」
「理由は、短剣は小回りが効くからより素早く動かすために、弓は、素早く標的に矢を射るためだ。」
「惜しいですね。それも短剣や弓に必要なことなのですが、もっと根本的に必要なことです。」
「根本的?」
「はい、そうです。そもそも短剣は、相手との間合いを詰めて戦います。もちろん間合いを詰めるのに速さは必要ですが、素早く動かして相手を攻撃するのに、目が大事になってきます。」
「そんなに目が大事なのか?」
「はい! 皆さんは、あまり重要視してませんが、大事なことなんです。もし攻撃が速すぎて目で追えなかったら、それこそ脅威です。目が良ければ、剣などを見切って避けることもいなすこともできます。」
「そう言うことか。弓は、動きの早い敵を捉えるためか。」
「そうです。よく分かりましたね。見えない攻撃を避けろと言っても、できる人はほとんどいません。それに、見えない的を攻撃することも出来ません。ですので、目が大事になってきます。」
「なるほどな。で、何をするんだ?」
「目を鍛えるには、単純に速いものを見ればいいんです。」
「速いもの? 例えばなんだ?」
「た、例えばですか? ……………そうだ! 騎士さん達の素早い撃ち合いはどうですか? それならいい訓練になりますし。」
「おい。今考えただろ。」
「バレちゃいましたか。」
「まあいい。そんなことより、速いものを見ればいいんだろ。」
「(そんなこと、ぐすん)………ええ、そうですね。」
「なら、できるだけ重くて弾むものはないか?」
「重くて弾むものですが? ちょっと探して来ます。」
「重くて弾むもの〜重くて弾むもの〜なかなか見つからないですね。どうしましょうか。」
「あら、どうしたのメリル。」
「あ、奥さま。いや、レクス様から重くて弾むものはないか? って言われて探してたんですよ。」
「なら、1年くらい前にレクスちゃんのために買ったボールでいいんじゃない? 重くはないけどよく弾むし。」
「なら、聞いて見ます。そのボールって、何処にあるんですか?」
「えぇ、それならこの辺にっと………ほらあったわよ。レクスちゃんに持っていってあげなさい。」
「ありがとうございます。では、失礼します。」
「遅れてすいません。」
「いや、それほど待ってないぞ。それよりあったか?」
「重くて弾むものは無かったですが、よく弾むものならありました。これではいけませんか?」
「弾めばなんでもいい。重ければもっと訓練になると思っただけだ。」
「けどそれ、どうやって使うんですか?」
「あぁ、それはこれを上に投げて、ボールが落ちてくるのを見ればある程度、訓練になるだろ。それに、1人でもできるしな。」
「なるほどー。そうやって使うんですか。それに、ボールを壁にぶつけて、帰ってきたボールを避けたり、蹴ったり、殴ったりすることもできて、速く動く訓練もできてお得ですね。」
「あぁ、そうだな。これからはこれも使って訓練していくよ。ありがとう。」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。何かありましたら、いつでも呼んでくださいね。では、失礼します。」
さっ、これを使って訓練でもするか。
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