14話:『人間であること、ゴブリンであること』


ゴブリンの子供A:「ねえ、お母さんあれって人間じゃないの?」

ゴブリンの子供B:「本当だ。人間だ!」

ゴブリンの親達:「何故人間がここに、、、」

       :「子供を隠さないと」

       :「子供なら殺れるんじゃないか?」





雲行きが怪しくなってきた。

緑子は今、ゴブリン国名物の肉まんを買いに店に入っている。





スー:(人間であるだけで、こうなるものなのか、、、)

ピーチ:「魔女って人間に入るのかな?」

スー:「さぁ」



緑子が戻ってくる。



ゴブリン民衆A:「緑子様だ!」

ゴブリン民衆B:「緑子様が帰ってきた!」

ゴブリン民衆C:「緑子様が人間に肉まんを渡している!」

ゴブリン民衆D:「人間の隣にいる人って、もしかして魔女じゃないか。すると、、、」



緑子:「堂々とするが良いさ2人とも、君達の名声が味方してくれるさ」

スー:(微妙な気持ちだ)



ゴブリン民衆E:「やっぱり噂は間違いなかったんだ!」

ゴブリン民衆F:「両刀の狂戦士、、、」

ゴブリン民衆G:「包帯野郎は人間、、、」



ゴブリン民衆は、疑惑から確信に変わった。



ゴブリン民衆H:「ようこそゴブリン国へ」

ゴブリン民衆I:「ここの肉まんは美味しいぞー」

ゴブリン民衆J:「生きていたんだ包帯野郎ー。心配したぞー!」

ゴブリン民衆K:「魔女様。魔女様ー!」





歓迎ムードに一変した。

若い女のゴブリンは、歓喜のあまり気絶するものまでいた。





ピーチ:「うちら有名人だね♪頑張ったかいがあったってもんさ」

スー:(おまえ何にもしていないけどな)



ピーチは手を振った。

天狗になっている。歓声は更に大きくなる。

名声は今、人種間の壁を超えた。





スーはいつの間にか涙が出ているのに気が付いた。

怖かったのだ。顔を晒すことが。ずっと。

気持ちはゴブリンでも人間から生まれたのには違いない。





人間に捨てられ、ゴブリンからも見捨てられたら、自分は。

自分は自我を保てるのだろうか?という気持ちがずっと拭えきれなかった。

今正に、その疑念から解放されたのである。



スー:(アン、ドゥー、トロワ。僕は今、本物のゴブリンになれた気がするよ)



緑子:「君達は希望であり、アイドルであり、スターなのです。私達にとって」

  :「さぁ、今日はあそこの宿に宿泊します」

  :「行きましょう。謁見は明日の予定です」





スーとピーチはゆっくりと休むことができた。



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