放課後はキミと一緒に/りぃ

第1話「トンボの地味子」

 トンボの地味子。

 クラスのみんなが私をそう呼んでいるのは知っている。

 真っ黒なかみは後ろに一つのゴムでくくっただけで、全く可愛かわいさのない赤色眼鏡めがねをつけた私。トンボのあだ名は昔からあるどうようの歌から取っただけというのも、もちろんあく済み。

 そう呼ばれるのは仕方ないって思ってた。

 だって本当に地味なんだもん。

 まだ十七歳だっていうのに、明るさなんて私にはいつさい無い。

 だから友達もいなくて、いつもいつしよにいてくれるのは教科書とペンとれんあい小説。私がこんなものを持ち歩いているのは、母親から「勉強しなさい」と毎日言われるからだ。

 勉強をする事はきらいじゃない。むしろ好き。

 だってまだまだ自分が知らない事はこの世の中にはたくさんある。

 だからこそよくいてくるし、何よりも勉強は裏切らない。

 そしてそれは恋愛小説も一緒。ラストは絶対にハッピーエンドだもん。

 こんな地味子の私でも少しは女の子らしくいられる時間がこの恋愛小説を読んでいる時だけ。

 だって、こんな見た目の私。だれが好きになってくれるんだろう?

 トンボの地味子だよ? 誰がトンボに好意を寄せてくれるの?

 恋愛をほうした私は、ますます勉強と恋愛小説に深くハマっていって……

 け出せなくなりそうになっていた時に、ある男の子に手をばされてつかまってしまった。

かしわぎ! お願い!! 俺に勉強を教えて!!」

 ある日の放課後、とつぜん私に頭を下げてきた男の子。

 トンボの地味子とは呼ばず、私の本名である柏木の名字を呼んだ、背がめちゃくちゃ高いバスケ部員の人……

 あかだい

 名前の通り、とてつもなく広い大地のような心と熱い感情をぶつけてきた男の子が私の前に現れた。

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