からくりピエロ/40mP

プロローグ


 時計台の針は十七時を指している。


(待ち合わせは二時間前……ここにひとり……)


 はハンドバッグをにぎりしめ、広場をわたした。

 たくさんの人が大切なだれかと待ち合わせ、うれしそうにそれぞれの目的地へ歩いていく。


 空は晴れ渡り、ポツリとかんだ白い雲が美紅を見おろしている。


 街ゆく人、流れる雲。

 目に映るすべてが、自分のことをあざわらっているような気がした。



 頭の中にさみしいメロディーが流れてくる。


 あの日見つけたオルゴールの音色。

 ゼンマイを巻くと、木箱の上をくるくると回り出すピエロの人形。


 どこにもたどり着けず、ただ同じ場所で回り続けるその姿は、今の自分にそっくりだ。



(それが答えなんだよね? ゆうせんぱい──……)


 目を閉じて問いかけると、美紅は広場の出口に向かってゆっくりと歩き出した。

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