最終話
神社に着くとおばあさんは石碑の前に倒れたままだった。おばあさんを見つけるとすぐに男の子が走り出す。
「おばあちゃん!どうしたの?」
するとおばあさんはこちらを向きハッとした。
「悠くんかい。本当に悠くんかい…!」
「そうだよ。おばあちゃんごめんね。おばあちゃんがかえってこないから、ひとりでがっこうにいっちゃったんだ。」
「そういうことだったのね。お家にいたはずなのに帰ってこないから心配だったわ…!怖かったね。一緒にいてあげられなくてごめんね。でももうずっと一緒に居るからね。大丈夫だからね。」
おばあさんは泣きながら悠くんを抱きしめると、2人の身体を細かな光が包み込み、少しずつ消えていった。
「おにいちゃん、またね。」
「本当にありがとうねぇ。今度美味しいご飯を作りますね。私たちを助けてくれて本当にありがとう…。」
そう言って2人は幸せそうな顔で行ってしまった。
「2人を救えて良かった。本当に…。」
すると俺も足から力が抜けてしまい後ろに倒れる。すかさず遥が受け止め、抱えながら横にしてくれた。
「遥。本当にありがとうな。お前の時間を何年も何十年も俺と一緒に居ることにつかってくれて、俺は幸せだったよ。それなのに楽にしてくれなんてごめんな。次、新しいかみさまに仕える時は俺なんか忘れてしっかり仕事しろよ。」
「いいえ。いいえ。未来様。私は貴方にお仕え出来て本当に幸せでした。2ヶ月前、人間を守るために持てる殆どの力をお使いになったとき貴方はとても広いのだと思いました。どうしてこのようなお優しいお方がなくならなければならないのか。どうしたらお救いできるのか。そんなことをずっと考えていました。しかしもうやめましょう。私は未来様のこと、いつまでも忘れません。それが貴方を救うことになるのでしょう?」
「2ヶ月前は泣いてしまいましたが今回は泣きませんよ。笑って未来様をお送りします。」
そうだけ言うと遥は固く口を結んで目を細めて笑っている。瞳の奥には今にも溢れてしまう程の涙が溜まっているのだろう。俺はこんな一途で優しい遥や俺をつくってくれた人達が大好きだ。少しでも生きた証を残せただろうか。そんなことを考えていると段々と深い眠りに誘われて俺はそっと目を閉じた。
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