冷奴

「しまった」


 冷蔵庫の野菜室に、ネギしかない。


 冷凍庫には色々お肉が眠っているけれど、


 肉だけ、というのは不健康だ。


 仕方がないので色々諦めて、


 冷蔵庫の豆腐に刻んだネギをかけただけの、


 冷奴をおかずにすることに決める。


「サボった訳じゃないよ?」


 ひとり言い訳しつつネギを刻んで小鉢に入れ、


 平皿に豆腐のパックを開けて置く。


「いただきます」


 早速豆腐にネギを乗せ、


 醤油を少しかけて一口。


「うむ?」


 今日は暑いからか、予想以上に美味しい。


 大豆の優しい甘さに、ひんやりとした舌触り。


 偶然だけれど、いい判断をしたなあ。

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