024話 剣の巫女 v.s 土の巫女 1


―― 刻は少しさかのぼ


"カキン"


赤と黒の疾風迅雷が

荒野を駆け出した。


ナルはアースを射程圏内に捉えるとジャンプし

《アマテラス》を頭上に構え、前転宙返り後、叫んだ。

斬魔ザマ夜歌夜ヨカヨぉ!!」


全力で振り下ろされる《アマテラス》


「…へぇ」

アースはナルを見上げ笑った。


おもむろに、《サタン》を一周振り回したあと、アッパースイングで《アマテラス》を迎え打った。


交錯する鎚と刃が奏でた。


"ガキィィィィン!!"


ちゅうから降りたナルは、再びちゅうに放り出された。


トランポリンにでも、着地したかのように。


アースの巨体も3mほど地を滑る。


お互い右腕を負傷し、左腕しか使えないはずだが、何という力のぶつかり合いだろう。


着地したナルは、すぐさま地を駆けた。


《アマテラス》を横に構え、水平にぎ払った。


迎え打つ《サタン》も水平に、空気を押し潰しながら迫った。


"ガキィィン"


《アマテラス》と《サタン》は、衝突音を合図に、物凄い勢いで反発する。


二人は互いに四mほど地を滑った。


圧破アッパぁ!!」

アースは《サタン》でくうを打ち、不可視の衝撃波をナルに放った。


擬刃ギバぁ!」

ナルは《アマテラス》による飛翔斬撃ひしょうざんげきを不可視の衝撃波に向けて放った。


"パシュン!"


飛翔斬撃は、何かに触れ消えた。


不可視の衝撃波も消えたようだ。


訪れる静寂せいじゃく


「ははは、あんた…めちゃくちゃだねぇ」

アースはナルを見て笑っている。


子供みたいな純粋な笑顔だ。


「…やって見ると…何とかなるわね…」

ナルは驚いた顔をし、呟いた。


まさか…何の算段もなく、なんとなくで、飛び技には、飛び技をぶつけたわけではあるまい……。


…ナルを信じよう。


「おりゃ!」

アースが跳ねた。


巨体が空をおおう。


ナルは本能的に避けに徹し、上空を見ながら左へ流れた。


"ドゴォン!"


空気を押し潰しながら打ち込まれた。


《サタン》は、ナルをとらええきれず大地を叩いた。


しかし、アースを中心に大地は大きく陥没しナルの足を奪った。


アースはその巨体に似合わず、すでに動いていた。


ナルの目の前に…。


足を取られ、動けないナルをアッパースイングの《サタン》が襲う。


回避不可なタイミングだ。


"ガキィィン!"

"…ドガン!!"


ナルはギリギリ、《アマテラス》で《サタン》を受けたが、その衝撃は殺せず強烈な衝撃は、まともに身体を突き抜けた。


口から血を吐きながらナルは吹き飛んだ。


更に、かなりの速度で、すぐ後ろの岩山に背中からぶつかる。


「…がはっ!」

大地が赤く染まる。


ナルは、立ち上がれず、吐血した。


内臓をやられたのか、血の量が尋常ではない。



―― アースは、ナルの前に居た…

《サタン》を振り上げ、もう一度

アッパースイングを繰り出した…

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