MIKOs
浦上 とも
001話 大和の巫女達
"パチッ……バチッ…"
炭火に
仕留めた武器を大地に突き刺し
焚き火を囲っていた二人の少女は
それに、美味しそうにかぶり付く。
つい先程まで、私達を食そうと果敢に襲ってきた大蛇は、あっという間に骨へと化した。
弱肉強食とは、よく言ったものである。
ペロリと平らげた二人の少女は
大地に突き刺してある
己の武器を抜き払う。
「行きましょうか」
「……了解」
―― ここは、オーザリア大陸の東南に
私達は、その
雲一つ無い青く澄みきった空を太陽が
大自然の風光明媚を台無しにする金属音の正体は
少女が歩きながら行っている羽子板遊びだ。
彼女は着物と呼ばれる
赤い着物、赤い
"カァン、カァン"
羽子板遊びしながら、歩いていた。
彼女の名は《
"カンッ!"
黒髪を短く切り
もちろん素手ではない。
その両手にはカタルと呼ばれる
炎を思わせる外観だが、色は漆黒だ。
《
また、
《
彼女の名は《
イマリもまた世界に7人存在する巫女のひとりで《
「こんなに良い天気なのに、山登りなんてしてる場合じゃないわ」
退屈そうに
「う~ん、気持ちいい~」
不満顔だったナルの表情は、もう笑顔に変わっている。
「…野球する?…前方左手奥…草影の中、二匹」
そう言うと、イマリは特に感情を出さず、2つに増やした《
ナルは 両手で《アマテラス》を横手に引き、落ちて来た《
「よいしょっと」
《アマテラス》を一気に振り抜いた。
打音を合図に《
「グエッ」
遠くで聞こえた
「ナイスショットォって野球って、こんなんだったっけ?」
《アマテラス》を担ぎ直しながらナルは聞いたが、イマリは元から興味が無かったのか歩みを一度も止めていない。
「あの草むらの中、手裏剣2つ回収よろしくっ!」
ナルは草むらを指差しながら、満面の笑みで言うと、返事も聞かずイマリを追って行ってしまった。
私は遠くの草むらを見渡す。
「…どの草むらだよ」
私は回収係ではないのだが…。
ここで私の自己紹介をしておこう。
銀髪ストレート、キュートに
この世界に、妖精は私しかいないみたいだから、名前など無くても困らないのだが、ナルに名付けられた《
身長23㎝、人形用か何かの白いチャイナドレスを着せられている。
年齢不詳―― 不思議な事に、私には過去の記憶が無いのか過去を思い出すことが出来ない。
気付いた時には 《
可憐な容姿なのだから、若いのは間違いないだろう。いや、間違いない。
ナルとイマリは二人とも大和出身の同い年で身長もほぼ同じ、知らない人から見たら姉妹か双子と思われてもしょうがないだろうが、二人の出逢いは3年前だ。
出逢った時の話は、思い出したくないので辞めておく…。
二人の性格は真逆。
思ったことがすぐ感情に出る
まぁお似合いなコンビで、私からしても大切な、大切な仲間だ。
「嬉しそうに飛んでるけど、何かあったの?」
ナルが顔を覗きこんでくる。
「ううん、べーつにっ」
ナルとイマリの事を考えているうちに、羽が勝手に
「…到着」
前を歩いていたイマリが、急に歩みを止めたため、イマリの後頭部にぶつかりそうになる。
イマリが見上げている方へ視線を向けた。
その先にあるのは、《
3匹の竜をモチーフにしたと思われる鳥居が大陸を見渡していた。
「《
鳥居の周囲を確認しながら、ナルは小声でイマリに問いかける。
「まだ動いたという情報はない、おそらく居るはず…」
《
これから起こる巫女達の接触が、吉か凶か…。
緊張感が二人の足を止めていたが、下半分を山に飲み込まれた夕日を
「行くしかないわね」
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