第33話

その後は彼に会いたいという気持ちでいっぱいになり、本当に何も覚えていない。ヤバいくらい覚えてない。





Chrrrrrr Chrrrrrr



「うるせぇ!」



久しぶりとも言えるこのアラーム音。何年間も毎日毎日使っていたから音量には慣れていた。それでも3日4日聞いてないとこんなうるさかったんだと実感する。






「やべぇ、モタモタしてらんねぇ今日卒業式じゃん。」



マッハで準備をする。




「人生最速の準備時間☆」



今の自分は二郎さんの笑い方より確実にキモかった。ごめんなさい。






〔ねぇねぇ!〕



「うわっ!」


そこには小さな子供が立って私を見ていた。



〔お姉さん、今、すごく会いたい人がいるでしょ!〕


「くっ!!!どうして、、分かった、、、」


〔んふふ〜秘密ぅー〕


可愛いなこの野郎


「君、迷子?」


〔ううん!お姉さんが迷子!〕


「え?」


辺りを見渡してももちろん通学路を通っている。


「とっ、、、とりあえずお姉さん卒業式だから着いてきて!」


こんな所に子供を置いてくなんて考えられない。でも、誘拐じゃないよ!警察来ないで!



〔わかった!レッツゴー!〕


お元気そうで何よりです。


「君、ところで名前は?」


歩きながら質問する


〔えっとね、あっとね、わかんない!へへっ!〕


「それやばい感じじゃね?」


自分の名前が分からないかぁ、困ったな


〔お姉さんがつけてよ!〕


ちっちゃいからミニにしよう


「じゃあねぇ、ミニ!今日からミニね!」


〔わぁ!嬉しいなぁ、へへっ!〕


そんなに喜んでもらえてこっちが嬉しいよ

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