第11話 車窓Ⅱ 夜明け前  



フロントガラス越しの街並み


うす暗さの中 すでに一日の営みは


始まっているのだ





綺麗な街の顔  薄汚れた街の顔


陽の光に すべてをさらけ出すのはまだだ





駅に向かう線路を支える架橋


並走する道路 道路わきの商店街





街路樹を押しのけ点滅する信号機


その下で蠢く スモールランプの車体


駅舎の影が だんだん近づいてくる


林立する コンクリートの太い架橋柱


その下


柱の側を 小さな人影が駅へ駅へと向かう


また


スーツの上にブルゾンを着込んで


寒さをしのぎながら 自転車が行く


人影は みんなみんな駅舎へ 


駅舎の灯りの中へ吸い込まれて行く






街は夜明け前で まだ薄暗い


街の顔の ”えくぼ”も ”あばた”も


まだ ”シミ”一つ 見えぬ


すべてを さらけ出す


陽の光は・・・もう間近い・・・







               了

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