第9話 完熟柿






やわい陽のひかり 鳥たちが鳴きさえずる



周りは みんな枯れ草 枯れ葉色



そんな中に 熟しきった柿の実たわわ



支える細い柿の木 細い枝 柿の重みに 耐えている






気まぐれカラス 飛んできて止まった柿の木



重さを増して 揺れに揺れ



折れそうな枝揺れて 柿をついばむにも ままならぬ






枯れ草の中で キジバト ピョンピョン



周りの木の枝 止まり木 ヒヨドリ小鳥たち



みんな みんな 寄ってたかって



カラス帰れ 帰れのシュプレヒコール






熟しきった 赤い柿の実たわわ



細い柿の木 細い枝 柿の木重さに耐えている



カラスは足元ゆらゆら揺らして 大きく羽ばたき立ち去った






カラスの去ったその後は 甘い柿の実争奪戦






やがて 柿の実なくなった



      柿の木 萎えて疲れて見える






数日たって 柿の木見れば






やわい陽の光を浴びながら シャキッと立って



もう来年の実りの秋に向かっていますと 言っている







                      了

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