第8話 メジロの死





ゴツンと何かが ぶつかる音がした




寒い 透明ガラスの向こう側


ガラス越しの通路で


小鳥が一羽 転がっている




鶯色の小鳥 淡い黄色の腹を上にして


閉じた目元に 白いアイライン


羽毛の上で 二本の足が


わずかにピクピク動いている




数秒後 小鳥はパッチリ目を見開いた


通路の真ん中で


小鳥は あおむけ動けない




抜けかけた羽毛が一羽根


胸のあたりで 寒い風にピラピラ





そこは 猫の通り道


いつ何時 通るか…分からないけれど





目はパチクリ 動いているが


まだまだ体は・・・動かない





ガラス越しの景色は 枯葉色


元気いっぱい 飛び交うメジロの群れ





怖い大きな手を指しにべ人間が


さあ 「群れにお帰り」と


体は 起こしてくれたけれど





怖い通路の真ん中 立ったまま


飛び立とうにも 飛び立てない・・・





次の日





人の噂を聞いた


メジロが 通路で転がっていたんだって




ガラス越しの景色は 枯れ葉色


熟しきった 赤い柿の実


赤い実ついばむ小鳥 メジロの群れ






通路を音もなく白い猫が 通り過ぎていく








                了

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