第81話 ルルなりの治療 R15

洞窟の中に、雄と雌の臭いが充満しています。

ここは盗賊団の中で、2番目に大きな洞窟です。


人によっては一番、大切な場所かもしれません。

ルルは一番、嫌いな場所です。


でも、ルルはそういうものだと割り切っています。

割り切れる程には、見慣れた光景です。


裸の男達が、鎖に繋がれた女で遊んでいます。

その快楽の声は耳障りです。

ルルは深く被ったフードを、より深くします。


手には、鎖に繋がれた銀髪のハーフエルフがいます。

壊れていた彼女も、ここでお散歩をしていたら、独り言を呟かなくなりました。


ただじっと恥ずかしそうに、そして生々しい恐怖を目に焼き付けています。


目の前の首輪に繋がれた女は、男達を受け入れ快楽の声をあげていました。

雄と雌の臭いが酷いです。


次の場所へ、お散歩に行きます。


「ルルさんじゃないですか」


裸の男が声をかけてきました。

ルルに見覚えはありません。


「そのハーフエルフを、売りにきたんですかい?」


行為を楽しむ男達の手が止まり、こちらに期待の目を向けます。

銀髪の美少女が震えました。


「ただのお散歩です。彼女は名無しさんのものですよ?」


名無しさんを強調して告げると、男達は関わりたくないとばかりに目をそらしました。


「名無しさんのですか。なら、個室を使う時はご自由にと伝えて下さいな」


名無しさんとそれなりに顔見知りなのだろう男が、洞窟の一角に建てられた小屋を指します。


「あれは?」

「名無しさんがたまに使ってたんですが、俺らにはあんまり向かないんでね」


たまに使ってたとは、面白い事を聞けました。


男に返事をして、またお散歩を続けます。

目の前には、3人の裸の女達が遊ばれていました。


何人もの屈強な男達に代わる代わるです。

銀髪の美少女は、その光景を目に焼き付けていました。


「名無しさんに見捨てられたら、あなたの居場所はここになりますよ」


彼女の耳元で、優しく言い聞かせてあげます。

ルルが見てきた元親分のやり方です。


ルルはこんな事は覚える必要がないぞと言われましたが、役に立ったでしょうか?


お散歩は続きます。

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