第77話 ゼロス同盟
ゼロス同盟
100年程前に存在した、大小様々な都市国家の同盟。
それが100年程前、小さな都市国家の戦争が発端となり、全ての都市国家を巻き込む、終わりのない戦争に発展した。
滅ぼされた都市国家からは難民が発生し、盗賊になる者、新しい村を作る者が生まれる。
そしてまた、終わりのない戦争と掠奪が繰り返す。
「それで俺達は、ゼロス同盟だった土地の南東の端にいるわけか」
盗賊に教えてもらった情報を、薄暗い洞窟の中、地面に地図を描いて思い返す。
南に広がる森と山脈…。
そこを更に抜ければ、アルマ王国領か。
そして、この南東の端から東に行くと、あの砂漠地帯。
地面に地図を描く。
北は半島のように飛び出ていて、海があると…。
そして、この北に飛び出た半島の中央は、南の森が北へと伸びている。
頭の地図が、整理される。
ちなみに都市国家というのは、1つの巨大な都市が1つの国になっているらしい。
「…勉強熱心ですね?」
声をかけられた先には、パンを抱えたルルがいた。
パンなんて、久々に食べるなと思っていると、
「分けてもらいましたよ」
俺達は、熱心な勧誘に負け、盗賊団の住処にいた。
力こそ全ての、盗賊らしい手のひら返しだ。
そして、盗賊が寝ぐらとしている、いくつかある洞窟の一つを貰った。
ついさっき、空きができたらしい。
「明かりも貰ってきましたから…なんですか、これ?」
ランタンを手に、ルルは洞窟の壁に手を当てる。
「…殺菌消毒した」
「さっきんしょうどく?」
ルルがいない間に、最大級の火力で小さな洞窟の中を焼いたのだ。
虫が湧きそうな環境など、我慢ができない。
溶けた岩をペタペタと触りながら、ルルは不思議そうにしていた。
「外から虫が入らないようにしたいけど、どうしたらいい?」
「う〜ん、虫除けの草を炊いて、煮込んだ汁を撒くくらいでしょうか?」
「…お願いします」
手を合わせ、頭を下げる。
「名無しさんは、変なところで軟弱なんですね」
彼女の呆れた声が、洞窟に反響する。
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