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「自分の小説のどこをどう直したらいいかみんなで意見交換してみようpart2」企画参加ありがとうございます。ここまで読みました。
思わず嫉妬を覚えるくらいのクオリティの作品でした。
その為、「商業作品としてこの作品をとらえた(≒面白くて当たり前)」場合の基準で批評コメントを書かせていただきます。
1)どこまですんなり読めたか
好き嫌いという意味では少女貴族主人がけしかけたメイドを抱かされるまで、マンネリ化を感じたという意味では25話~30話あたりから。
2)どうしたらいい感じになりそうか
①細かなポイント:
・ここぞというところで魅せる描写を
主人公の可愛らしさを売りにしているのですから、もう少しことあるごとに容姿を思い出させる描写が欲しい。
髪の色、瞳の色、体格、身長、それに衣服。
加えて、男が女物の服を着ているのですから、骨盤の違いからくるフィット感(男女で腰回りやヒップラインが異なるので着心地も当然異なる)や、服のボタンが左前、右前で違和感があるなどの細かな生活感を思わせる描写があるとリアリティが増すかなと。下着の着け心地とかも。
このあたりは服飾の本や描写がしっかりした官能小説を読まれると参考になるかも
また、メイドさんや少女貴族主人とのせっかくのエッチシーンでも、前段で容姿を示す描写がほとんどないのはもったいなかったかなと。
②大きなポイント:
・見せ場が少ない
「ニヤリポイント」は多々あれど、「スッキリするシーン」は少な目、「めちゃくちゃスッキリするシーン」が1章の終盤である、という状態。
活躍する場面の少なさは飽きを招きやすいので、もう少し主人公が評価されたりいい目を見たりといったイベントの頻度が多いと良いかなと。
・読書感が次第に重くなっていく
主人公のキャラクター性は、分析力高い、合理的、割と他人を見捨てる、でもそこそこの罪悪感はあり、という中途半端かつ明るくない性格ですので、読み進むにつれて作品への気楽さは減じていきます。
対処法として主人公の性格を変える・・・のはこの作品の根幹を為すキャラクター性を減じるので、一例として「頭が悪いけれど行動的で明るい印象を与える相棒」を用意してみるとか。
とにかく、物語を面白くするうえでダウナー寄り主人公の欠点を補うキャラを周囲に配置した方が良いと思います。
・主人公を一言で言い表せる得意技の印象付けが弱い
数多ある異世界ファンタジーモノの主人公では、「勝ちパターンはこれです」といえる得意技があります。
本作にも爆破魔法や一撃必殺の斬撃はあるわけですが、あまりに活躍しているシーンが少なく、かつ印象付けがいまいち。
主人公の必殺技ないし得意技一言で言い表せる固有名詞(文字通り必殺技の名前)を用意すると良いかなと。
それと、気になる点として女騎士と相対した主人公のレベルが奴隷養成所での訓練をしていたはずなのに1というのはいささか解せない・・・。
・どういう目的設定なのかがいまいちわかりづらい。ゴールが見えない。
その場その場の問題に対処する主人公ゆえに、「この章ではこういう問題があってそれを解決するためにこういう小目標を立てて動いています」というテーマ付けが弱いために、ひとたび読者が「今何をしているんだったっけ?」ということを忘れてしまうと脱落してしまいます。
今、どんな目標で、何をしているか、作品の芯となるものが中盤以降でもないとなると、区切りやゴールもわからないので次第に読み疲れてきます。
3)作品の強みと弱みは
「主人公が見知った情報を描くことを徹底する」という点が、他のカクヨム掲載作品と比べて飛び抜けていると思います。
一方、タイトルから集客された層は次第に作品のゆるさがない為脱落する危険性があるかなと。
一章時点での大きな売りは、「主人公が凄いって事を読者である私は分かってるけど作中キャラはほとんど知らないんだぜへへん」という描き方の妙だと感じました。
ただ、先に挙げたように活躍の頻度を上げた方が読後感が良くなって集客につながると思います。
また、主人公の淡々としたキャラクター性は作品に安定感を与える強みである一方で、無茶をしないので回避不能なピンチには陥りにくくドキドキハラハラな危機感ありありの冒険をさせるのが難しい。
読者の飽きを防ぐための人間関係や状況の変化、だけではなく、「本章におけるゴールは何処か?」を提示すると良いと感じました。
2022.11.20追記:一番マンネリ化を感じた理由に気付いたので追記。
ほぼ終始一貫して、「主人公も」「主人公に関わった人物も」「性格や立ち位置や考え方が一切変化していない」というところが商業作品基準で見ると飽きを感じ易い理由かなと。努力・友情・勝利が典型ですが、物語の面白さの本質は変化、それも人との関係性の変化です。
作者からの返信
特に序盤に問題点があると感じていたので、企画に参加させて頂きましたm(_ _)m
最大級の賛辞と実に的確で具体的な指摘ありがとうございます!
大きな問題点として、主人公の性格も相まって、目的とゴールが見えない事から、何をしてるんだろう?と感じられる事が明確になりました。
またその問題点に気づかれないようにするスッキリシーンの少なさ、描写の弱さによるスッキリシーンにならない点が、その通りだと理解できました。
固有名詞になるような技や、主人公の性格のデメリットを補填する、物語をドキドキさせる進行役やタイトルと物語が合っていない点についても、的確な指摘だと思い、改善案を考えています。
全てその通りと感じる指摘と改善案で、とてもありがたい企画でしたm(_ _)mありがとうございます
どうでもいい所かもしれませんが、作者さんは哲学書の意味を致命的に履き違えてる気が。文脈で使われて意味的に民俗学とかそういう方が正しそう。哲学ってのは実生活ではなく思想ですからね。
作者からの返信
民俗学…なるほど_φ(・_・
学問として系統分けされていない世界だった気がするので、哲学という幅広く便利な言葉は、下記の意味で使っていた気がします٩( 'ω' )و
(近代以前の用法)知的探究活動全般・学問全般を指す。
したがって、学問に従事する人物全般・賢者全般が哲学者と呼ばれた。