第54話 快楽の宴 前編 R15 改稿

夕食を食べ終わると、大浴場で身体を洗いマリオンの部屋に向かう。


すれ違うメイド達が、好奇な視線をこちらに向けてくる。

…マリオンの悪癖を知っているのだろう。


狭い屋敷。

どこから漏れたのか、俺が男だと声を潜めて伝えている者もいた。

大浴場で入浴している時に、視線を感じた事もあった。


そんな彼女達の視線に晒されながら、二階へと上がる。

マリオンの部屋に繋がる廊下には、女騎士が直立不動で立っていた。

 

金髪の騎士はこちらに気がつくと、冷めた瞳を向けて来た。

もう幾度となく向けられたその瞳には、嫌悪の色が含まれている。


…嫌われたものだな。


自然と笑い合った彼女の姿はなく、まるで別人のような振る舞いに内心で苦笑するしかない。


「…男だったとはな」

「……」


不意に女騎士に声をかけられる。


「マリオン様の望まぬ事をすれば、その首が飛ぶ事をよく覚えておけ」

「…ええ」


軽蔑が混じった視線が痛い。

そんな社会的に死ぬような事できませんよと心の中で答え、適当に流すと彼女に背を向けた。


そして、そのまま部屋に入ったのだが、


「…っ!」


そこにはベッドに腰掛けた褐色肌の少女の姿があった。

その顔は赤く染まり、息づかいが荒い。


いつものメイド服はそこになく、脱ぎ捨てられた下着が床に散らばっている。

裸体を隠すものはなく、股を開いた彼女は見せつけるように右手を股間に伸ばしていた。


指先には、白い粘液のようなものが糸をひく。

それが何なのかは言うまでもないだろう。


…時間を間違えたか?

それは予想もしていない展開であった。


「…あ、アリス様!?」


リナは俺に気が付くと、慌てた様子で立ち上がろうとする。


だが、


「…誰か止めていいって言ったかしら?」


その声にリナの動きがピタリと止まる。


彼女の横で、それをニヤニヤと見つめるこの館の主だ。

金色の髪を揺らしながら下着姿で立つ少女は、こちらに目を向けるとゆっくりと口を開く。


「いらっしゃい、アリスちゃん」


妖しく光る瞳で、獲物を見つけたように舌なめずりをする。


「…早く続けなさい」

「…はい」


リナは頷くと、再び指を動かし始める。

クチュリという水音と共に、指が秘部を弄る度に小さく吐息を漏らす。

 

その艶めかしい様子を眺めているうちに目が合う。

するとリナは潤んだ瞳を向けてきた。


「ほら、さっきみたいに鳴きなさい」

「…ん…んん」


そして、俺を見つめながら指で小さな突起物を激しくこすると、その声が大きくなった。

頬を赤らめ息を荒くし、その細い腰をくねらせると、小さな乳房を震わせている。


静寂の中、少女の自慰行為は続いていく。

…心拍数が上がるのを感じる。


「…私、交わっている所が見たいの」


マリオンが俺の背後に回ると、耳元で囁いた。

背後から伸びてくる両手は、俺のメイド服を脱がしていく。


「……」


俺はそれを止める事もできず、されるがままとなっていた。

裸になった俺の下半身に手を回し、右手で握り締める。


「こんなに大きくして、悪い子ね」


クスクスと笑い声を漏らしながら、握った手を動かすのだ。


「…それは」


その動きに合わせて、俺もまた興奮していくのがわかる。


「…リナ、あなたの初めての相手よ」

「…え?…ひぃ!?」


声をかけられたリナの視線が、俺の股間を捉えると恐怖で表情が引きつっていく。

そんな様子を楽しそうに見つめると、マリオンは言葉を続けた。


「つまらない顔ね。処分するわよ?」

「…ぉ…お願い…します…それだけは…」


その目は涙を浮かべて、訴えかけてくるようだった。

彼女の瞳には、諦めの色が浮かんでいる。


そして、濡らした秘所を隠す事なく股を拡げる。

黒く染まった肌に、桃色の割れ目がヒクヒクと動いているのが見えた。


「アリスちゃんも楽しそうな顔をしなさい。好きにしていいのよ?」

「好きにって…」


目の前の少女は恐怖からか、震えているように見える。


…好きにしていいのか。


その姿を見ている内に鼓動が高鳴り、血流が増したように身体が熱くなるのを感じた。

マリオンが俺のモノを握り込む。


「…あら、硬くなってるわね」


それを聞いて、俺は小さく笑う。

快楽が理性を押し流した。


触れる事のなかったリナの肌にそっと手を這わすと、ビクッと身体を震わせたのがわかった。


…柔らかい。


「…ッ!」


きめ細かい褐色の肌を撫でながら、小さな双丘に手を添える。

柔らかな感触を味わいながら揉み込んでいく。


「…ッ」


その度に小刻みに震えるのだが、彼女は声を出す事はなかった。

次第に先端が固くなっていく。

 

指先で摘んで転がすと小さく身動ぎをするのだが、それでも声を上げはしない。


「下も弄りなさい」


マリオンはベッドの横に座ると、下着を脱ぎ自分の秘所に手を伸ばし始めた。

俺達の交わりを見て、楽しむようだ。


「…良い趣味してますね」

「…ふふ」


呆れたように彼女を見つめるのだが、そんな視線すら楽しんでいるようだ。


俺は胸から手を離すと、腹を撫でるようにして下ろしていく。

やがて、リナの下腹部まで到着する。

 

縦筋に触れると濡れているのが感じられた。

そして、中指を這わせると小さな穴の入口に突き立てる。


「…痛っ!」


リナが小さく悲鳴を上げる。

そこはリングのように硬く閉じ、異物の侵入を拒むのであった。


「…完全に未使用なんですね」

「当たり前じゃない」


俺の呟きに、マリオンは面白そうに答える。


「…指で拡げるのはダメよ?一気にソレで突き刺しなさい」

「…えっ…」


マリオンの告げた言葉に、リナは絶望したように青ざめた顔で俺を見上げる。

その瞳からは涙が溢れ出していた。


…はは。

 

だが、そんな姿に興奮する自分がいる事に気がつく。


「力を抜いて下さいね」

「……ぃゃ……」


小さく呟くが、抵抗する様子はない。

俺は自分のモノを、彼女の秘部に押し当てると愛液を塗りつけるように上下に動かす。


そして、徐々に押し広げながら挿入を始めるのだった。


——ブチッ!!


…何かが切れる感触が伝わった。

それと同時にリナの顔が苦悶に歪む。


「……ぅぁ……ぐぅぅぅう!!」


ギチギチと音を立てて、彼女の中に入り込んでいく感覚。

同時に秘部からは血が滴る。

 

リナの瞳から大粒の涙がこぼれ、痛みに堪えようと必死に唇を噛み締めていた。

そんな表情を見ていると、嗜虐的な感情が込み上げてくる。


「……ぁぁあああ゛ああ゛!!!」


ズブズブと音をたてながら肉壁をかき分け、奥へと進む。

根元まで入り切る頃には、その身体は震えていた。

その姿を見て満足感を得ると同時に、支配欲にも似た感情が湧き上がってくるのを感じたのだ。


彼女の中は、隙間がないほどに絡みついてくる。


「奥まで入りましたよ」


リナは糸の切れた人形のようにグッタリとしていた。

そんな彼女を気遣う事なく、腰を振り始めるとグチュグチュと音を鳴らす。


「…あぁ、良いわぁ」


マリオンはそれを恍惚とした表情で見つめながら、自慰行為を続ける。


俺は無抵抗の少女に、己の欲望をぶつけ続ける。

彼女は悲鳴も上げず、涙を流すだけで声すら出さなかった。


腰の動きは次第に激しさを増していき、絶頂が近い事を知らせていた。

そして、一際大きく腰が打ち付けられると限界を迎えたのだ。


「…くっ!!」


ドクンと脈打ちながら欲望を吐き出すと、ゆっくりとソレを引き抜いた。

白濁液が破瓜の血と混ざっりながら零れ落ちる。

 

リナは虚ろな目で天井を見上げているだけだ。

俺は冷めてきた頭で、それをただ見下ろしていた。


「思ったより、つまらなかったわね」


その様子を眺めていたマリオンは、残念そうに呟く。


「リナ、あなたはもう部屋に戻っていいわよ」

「…はい」


褐色肌の少女は、服を乱雑に着ると、破瓜の血を垂らしながらフラフラとした足取りで部屋を出る。


…ああ、やっちゃったな。


快楽に溺れた俺は、自分への言い訳を探していた。


「あの子の反応はつまらなかったけど、アリスちゃんは獣みたいで良かったわ」


悪魔が囁く。


「私がいない時も、あの子を好きに使っていいんだからね」


悪魔がまた囁いた。


「…ええ」

「今夜はこれで終わりよ」


その言葉に頷くと、俺は服を着て部屋を出た。


…俺って屑だよなぁ。


だが、後悔しているわけではなかった。

心が弱い事は自覚しているし、欲望に忠実で平凡な男である事も知っているからだ。


だから、屑なのだろう。


そんな俺の前に、相変わらず女騎士が直立不動の姿勢で立っている。

その姿は、今の俺にはなぜか眩しく見えた。


まるで太陽を避けるように、女騎士の前を横切ろうとする。


「寝て起きて、食べて犯す…まるで獣だな」


すれ違いざまに女騎士が呟く。


その言葉は俺の心を深く抉る。

それは、決して言い返せない事実なのだから。


「私と剣を交えたあなたは、もっと誇り高い剣士だと思っていた」


こちらを見ず、ただ独り言のように呟く。


…何を勝手に期待してんだよ。


その言葉を飲み込んでしまう程に、複雑な感情が渦巻く。

そのまま何も答えずに廊下を歩くと、自室に戻るのだった。


「…誇り高いか」


思わず鼻で笑ってしまいそうな言葉だ。


「…おまえらみたいのとは違うんだよ」


満たされた生活のはずなのに、心が荒んでいくのを感じる。


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