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彼女と僕はただの友達だった。少し他の友達よりも仲の良い友達だから、親友とも言えるかもしれないけれど、相手がそう思っていない可能性もあるので今は友達にしておく(相手が友達と思ってるかもかもわからないけれど)。
きっと、大人になっても彼女は友達なんだと思う。それ以上にもそれ以下にも、きっとならないんだと思う。それは、僕のただの感以外のなんでもないのだけれど。
彼女との出会いは小学生の頃だった。
僕がひとり砂場で砂いじりをして暇を持て余しているところに、彼女は突然現れた。僕が砂いじりに集中していただけだと思うけれど、彼女は突然現れたように思えた。
「ねえ、こんなところでひとり、なにしてるの?」
ここは誰も知らないようなとても小さな公園なのだ。
「昨日つくった砂の砂漠が雨で崩れてたから、直してるんだ」
彼女はふーんと興味なさそうに言った。
「君こそ、どうしてここに来たの?」
「砂遊びは楽しいの?」
僕の質問は耳に入っていなかったらしい。
「べつに楽しくないよ。でもやなことを忘れられるよ」
「やなことがあったの?」
「やなことなんて学校へ行けば溢れてるよ」
彼女は首を傾げた。
「なら学校へ行かなくていいじゃない」
「できるならそうしたいよ」
「じゃあ、どうして学校へ行くの?」
「行かなきゃいけないからだよ。パパやママに怒られるんだ」
彼女はきっと、学校が楽しくて仕方ない人なのだろう。だから僕の気持ちなんてわかりはしないんだ。そう思った。
「私、一週間前から学校行ってないよ。パパとママも、ちゃんと行かなくていいって言ってくれたよ」
彼女の発言に驚いた。僕以外にも仲間がいたことに、少しだけ安心した。
「どうして、行かないの?」
「君もパパとママにちゃんと話せばいいのよ。きっとわかってもらえるわ」
彼女は質問に答えてくれなかったが、足首や二の腕に痣が出来ているのをみて納得した。
「いいんだ。時には我慢することも大切だって、僕の先生が言っていたよ」
それからというもの、彼女と僕はたまに公園で会うようになった。小学校を卒業して、同じクラスにいたものだから驚いた。
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