第12話 またまた事故 いや、事件?

私は碧葉朱音。毎日学校に登校して、真面目に授業を受け、休み時間も騒ぐことなく落ち着いた生活をする。放課後には友達と一緒に下校したり、時には友達と遊びに行く。

ごく普通の学生。


でも、そんな私にも悩みはある。


対等な友達が居なかったことだ。


私は、いつも真面目に授業を受けているせいか、テストの成績は学年トップ10位内に入ることがほとんどだった。

そのため、同級生からは尊敬の目で見られることが多くなり、仲の良かった友達からもそんな目で見られるようになった。


それからというもの、私の周りには私と対等に話してくれる友達が居なくなっていった。





「うぅ…ん………あ…れ?」


目を覚ますと、そこにはいつもとは違う天井があった。いつもとは違う…けど、懐かしさを感じるこの天井は……。


「朱音ちゃん、起きた?」

「え?あ、はい」


あれ?この人は………。


「あ、静さん!」


「ごめんね。お母さんが変なこと言って。気にしないでいいから」


「は、はい」


そっか。私今けんちゃんの家に来てるんだった。それで……何があってこんなことになったんだっけ?あれ?


「大丈夫?お茶か何か持ってこようか?ちょっと待っててね」


「あ、すいません。ありがとうございます」


何でここで寝ていたのかよく分からないけど……まあ、いっか。


……また、変なこと考えちゃった。

私が悪いのかな。成績良いと駄目かな…。

対等な友達なんて出来ないのかな…。


ううん!そんなことない!那岐さんや玖乃さんは今までの友達よりも近い距離で話せてる!!

………そんな、気がする……。


あ、でも……。

けんちゃんとは昔みたいに話せてたよね。昔みたいにタメ口で、たまに喧嘩して、そして仲良く世間話でもして……。


あれ?喧嘩しかしてなくない?けんちゃんと仲良く話したり……してない…や。


「……まだ無理か…。やっぱり、まだ緊張しちゃう…」


けんちゃんと目を合わせるだけでも精一杯なのに……。


ああ、ダメだな…。こんなこと考えてるとどんどん自己嫌悪になってくる……。普通にけんちゃんと話したいだけなのに……。


「朱音。起きたのか?」

「うん。今さっき起きた」

「悪いな、いろいろ。あと、さっき朱音のお母さん帰ってきたっぽいぞ」

「そうなんだ。じゃあもうそろそろ帰ろうかな」

「そうか。気を付けてな」

「うん」


…………って!またいつの間にかけんちゃんと普通に話してる!?何でいつも無意識に話しちゃうかな私!


「朱音?」

「………は、はい…!?」

「お前、そっちから話しかけてきておいて急に他人行儀になるのやめろよな。調子狂うわ」

「え!?えーと、えーと。けんちゃんさん、ごめんねなさい!」

「学校モードと幼馴染みモードが混ざってんぞおい!」

「ひえぇ~…」


無理無理!まだけんちゃんと仲良く話すの無理!喧嘩してる時ならまだ話せるのに、なんで普通の時は話せないの~~!?



「あわわわわ……」

「………はぁ。碧葉さん?」

「は、はい!浅久くん!」

「………朱音」

「は、ははは、はい!け、けんちゃん!」


ダメだこりゃ。学校モードじゃないとろくに話すことさえ出来ないみたいだ。


「とりあえず今日のところは帰るか?」

「え……うん、そうしようかな…」

「………んじゃ、忘れ物しないようにな」

「うん」


俺は朱音に帰るよう促すと、朱音はすんなりと帰ろうとした。


「あ、この服…」

「あ~、別に持っていっていいぞ。どうせその服は小さくなったやつだし。そっちで捨ててくれてもいいから。あ、そうだ!お前の制服!」

「あ、危ない!忘れてた!」

「ちょっと待ってて。取ってくるよ。脱衣所だろ?」

「え!?いや、ダメ!私が取ってくるから!」


朱音のやつ、こんなことまで遠慮してんのか。別にそんな気を使わなくてもいいのに。

えーと、脱衣所の……。


「あ、これか。あったあった。………へ?」


脱衣所に畳んであった制服を取ろうとしたが、そこには制服以外の物も置いてあり……。


「これは……朱音の…?」


当たり前だ。風呂に入る前には必ず服を脱ぐ。ならば、もうひとつ必ず脱ぐ物がある。

下着だ。


「………D?」


俺は、ただの興味本位でブラのサイズを見てしまった。結果、Dカップということが判明したのだった。


「あいつ…でか……」

「けんちゃん……?」

「ひっ!」


これは言わば、お約束というやつである。


だって考えてもみろ。目の前にブラが置いてあるんだぞ。しかも、普通に可愛い女の子のブラだ。そりゃ、サイズを見たくもなるだろ。


「何……してるの?」

「え!?あ、えっと…だから、制服を取りに来ただけで……」

「じゃあ何で私の下着を手に持ってるの…?」

「は!?」


俺は目線を下に下げた。俺の手の中には朱音のDカップのブラがあった。


「な、なんか……反射的に手にとってしまったらしい……。あははは!」

「けんちゃん…けんちゃんの…けんちゃんのバカァ!!」


パチンッ!!


本日、三度目のビンタをくらいました。

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