第15話 チキン、飼育小屋に入る

「コケコッコー!」

 チキンが鳴いた。

「あ、卵が産まれた。」

 葉月は卵を発見した。

「なんだかガチャみたい。アハッ!」

 真理亜は茶化した。

「それにしても、うちの学校に飼育小屋なんて、あったっけ?」

「先生が言うからあるんじゃない? 先生は嘘を吐かないでしょうから。」

 葉月たちは教室から飼育小屋に向かう。

「良かったね。チキン。もうすぐお友達に会えるよ。」

「コケッ!」

 喜ぶチキン。

「ここが飼育小屋か?」

 葉月たちは飼育小屋に着いた。

「頼もう! 道場破りだ!」

 もちろん道場破りスタイルで突入。

「・・・・・・。」

 しかし返事はなかった。ただの屍のようだ。

「誰もいないね?」

「でも、チキンを飼育小屋に預けないと、また先生に怒られちゃうよ。」

 妙な生徒の先生に怒られたくないという使命感。

「よし! ダンジョンに突入するぞ!」

「おお!」

「コケッ!」

 いつの間にかダンジョン扱いされる飼育小屋。

「ギャアアアアアアー!? なんかいる!?」

「怖い!?」

 ガサっと音がして、恐怖する葉月たち。

「コケッ!?」

 チキンは恐怖で鳥肌になった。

「チュウチュウ!」

 ネズミが葉月たちの足元を通る。

「ふう~、なんだ。ネズミか。驚かせやがって。」

「飼育係の人達は掃除をちゃんとしてないんだね。減点だ!」

「コケッ!」

 ネズミを確認して立ち直る葉月たち。

「さあ! 奥に進もう! 扉の向こうへ!」

「おお!」

「コケッ!」

 先に進む葉月たち。しかし、扉には「この先に進むべからず」と書いていた。ところがおバカ過ぎて、字が読める人間がいなかった。

「モオー!」

「牛!?」

 扉の向こうには牛がいた。

「モオー!」

「なぜ!? 牛が!? うちの学校に牧畜科や放牧科はないはずだが!?」

「きっとアニマルセラピー科があるんだよ!」

「そういうことか。」

 納得できてしまう葉月たち。

「牛さんがいれば、毎日、牛乳が飲み放題だね!」

「牛肉も食べ放題! アハッ!」

 葉月たちは自分の利益しか考えていなかった。

「コケッ?」

 こいつら大丈夫か? と思うニワトリであった。

「さあ! 次の冒険が待っている! 新たな世界に旅だとう!」

「おお!」

「コケッ!」

 葉月たち次の扉を開ける。こいつらに注意の文字は読めない。

「ガオー!」 

「と、虎!?」

 次の飼育小屋には虎が待ち構えていた。

「ギャアアアアアアー!? 食べられる!?」

「学校で虎を飼うとは、うちの学校は何を考えているんだ!?」

「コケッ!」

 虎も虎だが、おバカを入学させる学校も学校である。

「虎のお肉は美味しいのだろうか?」

「ぶつ切りにしてみますか? それとも三枚におろしますか? ペロリ。」

 葉月と真理亜には虎も食料にしか見えなかった。

「コケッ!?」

 なんて恐ろしい女子高生たちだ!? 思わず鳥肌になるチキン。

「次の冒険はなんだろう! まだ知らない楽しみがここにはある!」

「ドキドキ! ワクワク!」

「コケコッコー!」

 次の未知なる扉を開く真理亜たち。ミステリー飼育小屋ツアーは続く。

 つづく。

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