第14話 チキン、学校に現れる。
「それでは出席を取ります。」
教室では先生が出席をとっている。
「大神真理亜さん。」
「はい!」
次々と教室の生徒たちの名前が呼びあげられていき返事をしている。
「八月葉月さん。」
「はい!」
何事も無く葉月の名前が呼ばれる。
「はあっ!?」
その時、先生が何か気づいた。
「に、に、に、ニワトリ!?」
もちろんチキンだ。
「コケッ!」
先生、よろしくな! っとチキンは言っているようだ。
「な、なぜ!? 教室にニワトリが!? それになぜ!? ニワトリが生徒の頭の上に!?」
先生の理解の範囲を超える。
「控え! 控え! このお方をどなたと心得る! 12干支の一匹! 酉の干支! チキン様であらせられるぞ! 頭が高い! 控えおろう!」
口上を噛まずに言えて、心の中で「言えた!」と自分を褒めてあげたいと思う葉月。
「ははあ~!」
先生、生徒の全員がチキンに跪いて頭を下がる。
「はあっ!? 教師の私としたことが!?」
間違いに気づく先生。
「こらー! 八月! 学校にニワトリを連れてくるな!」
先生の反撃が始まる。
「ニワトリではない! チキンは干支様だ!」
「コケッ!」
堂々と胸を張るチキン。
「じゃあ、その頭にある物はなんだ?」
「え? 頭?」
葉月は頭を探ってみる。
「おまえ、また生んだのか。」
「コケッ。」
チキンは卵を産んでいた。
「卵ではないか! やっぱりニワトリだ!」
卵を産むのはニワトリである。
「く、悔しいが、こうなると否定できない!?」
証拠が見つかっては反論できない葉月。
「コケッ!」
笑って誤魔化すチキン。
「八月! 廊下に立っていろ!」
「ほえ~!?」
「コケッ~!?」
廊下に放り出される葉月。
「葉月ちゃんって、私よりおバカね。」
勝ち誇る真理亜であった。
「さあ、授業を始めるぞ。教科書を開いて。1+1からだ。」
これでも高校一年生の授業である。
「大神、答えてみろ。」
「分かりません。」
「・・・・・・。」
教室の空気が凍りつく。
「おまえも廊下に立っていろ!」
「アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「今の時代に廊下に立たせるって、体罰よね。国家権力の乱用よ!」
「そうそう。教育委員会にチクって、先生に教師を続けられないように脅してやる!」
「コケッ!」
まったく廊下に立たされても反省しない二人と一匹。
「それにしても先生も謎よね?」
「学校ってだけで先生は出てきてしまうものね。」
「コケッ!」
先生の設定は後回し。アハッ!
「おまえたち、反省したか?」
授業が終わり先生が廊下に出てきた。
「はい! 先生! とても反省しました!」
「もう悪いことはしません!」
「コケッ!」
表向きは模範生とような謝り方をする葉月たち。
「よろしい。許してあげましょう。」
単純な先生は葉月たちを許す。
「ちょろい。」
ニヤッと笑う人間二人とニワトリ一匹。
「葉月さん。ニワトリは飼育小屋に預けておきなさい。」
「は~い。」
果たして飼育小屋でチキンを待つものとは!?
つづく。
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