第12話 チキンと一緒に学校に行こう
「コケコッコー!」
朝が来た。チキンはニワトリなので朝になったら習性で鳴き声を上げる。
「・・・・・・う、うう・・・・・・おはよう、チキン。・・・・・・はあ~。」
葉月は目を覚ました。
「コケッ!」
チキンは葉月の頭の上で寝るようになった。葉月の頭がニワトリの巣のようで居心地がいいのだった。
「あった!」
そして葉月の頭に何かがある。
「産みたて、ホヤホヤの卵! 超~新鮮!」
卵だ。ニワトリの習性として朝には卵を産むのだ。
「これで目玉焼きを作ってもらうんだ~。」
その卵は葉月のお腹の中に消えていくのだった。
「コケッ!」
自分の子供が生まれないのは葉月の性だとは知っているのか、知らないのか分からないチキンであった。
「目玉焼き! 美味しい!」
「コケッ!」
朝食の時もチキンは葉月の頭に乗っている。
「チキン目玉をあげよう。」
「コケッ!」
そして自分の焼かれた卵を食べるチキンであった。
「葉月ちゃん、学校へ行こう!」
「学校!? 忘れてた!?」
すっかり学校を忘れていた葉月。
「アハッ?」
学校なんて知らないチキン。
「チキンはどうするの?」
「チキン、あんた留守番しててね。」
当初、葉月はチキンを置いていくつもりだった。
「コケッ!」
しかし葉月の頭の上を気に入っているチキンは離れない。
「仕方がない。チキン、おまえも学校に連れていってあげよう。」
「コケッ!」
「チキン、いつも私たちは一緒だよ!」
「コケッ!」
大喜びのチキンは葉月と一緒に学校に行くことになった。
「葉月ちゃん、チキンを本当に連れてくの!?」
「うん。だって私とチキンは一心同体! 何度離れ離れになっても巡り合うのよ!」
「コケッ!」
人間とニワトリの素晴らしい友情。
「羨ましかったら、真理亜ちゃんも妹さんを連れてきたら?」
「楓を!? そ、それだけは困る!?」
楓が高校に来たら、小学一年生の妹の方が自分より賢いことがバレてしまうと動揺する真理亜。
「残念ですが、私も小学校があるので辞退します。不束な姉ですがよろしくお願いいたします。」
「相変わらず、良く出来た妹さんだな。」
「コケッ。」
いつも楓に感心する葉月とチキン。
「いざ! 出陣じゃ!」
「コケッ!」
遂にニワトリを頭に乗せた少女が学校に向けて出発する。
「ドローンで空中撮影したらエモいでしょうね。きっとSNSが爆発するわよ。」
「それいい! 爆発したら、これで干支を人気者にするという干支守としての私は優秀ってことね。」
「コケッ!」
勉強以外では賢い葉月と真理亜の仲良しコンビ。
「チキン、あなたは良い飼い主に出会ったのよ。良かったね。」
「コケッ!」
大喜びのチキン。
「お姉ちゃんたちはニワトリを学校に連れていったらどうなるか分かっていないのね。はあ・・・・・・。」
おバカな姉の友達は、やっぱりおバカと思う妹の楓であった。
つづく。
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