第11話 チキンの食事

「縁側でお茶を飲むとほっこりしますな。」

「コケッ。」

 葉月とチキンは縁側でお茶を飲んでほっこりしていた。

「こういう時にお団子でも出してもらえると、更にほっこりするんですけどね?」

「誰が出すか! 人んちの庭で勝手にほっこりするな!」

 この縁側は真理亜の家だった。

「ケチッ。」

「コケッ!」

「文句を言うな!」

 わがままな居候の人間とニワトリ。

「お団子が食べれないなんて・・・・・・クスン。」

「コケ・・・・・・。」

 お団子が食べれない悲しみでじんわりする葉月たち。

「良かったら、お団子をどうぞ。」

 真理亜の妹の楓がお団子を持ってきた。

「ありがとう。楓ちゃん。」

「コケッ。」

 お団子に感謝する葉月とチキン。

「本当に良く出来た妹さんだ。」

「コケッ。」

「よく言われます。アハッ!」

 感心されて照れる楓。

「それに引き換え、使えない姉ですな。」

「コケ、コケ。」

「悪かったな!?」

 非難される真理亜。

「お姉ちゃんはおバカですから。」

「おまえも言うな!?」

「アハッ!」

 妹にもバカにされる姉であった。

「みんな! ご飯が出来たわよ!」

 そこに真理亜と楓の母親のひばりがご飯が出来たと呼びに来た。

「は~い!」

 真理亜と楓は母親の言うことに従う。

「やったー! やったー! ご飯だ! ご飯!」

「コケッ! コケッ!」

 葉月とチキンも喜んだ。

「おまえたち、団子を食べたばかりだというのに、まだ食べる気か!?」

「子供は遠慮しなくていいのよ! それにご飯は別腹よ!」

「コケッ!」

 真理亜と葉月たちに戦慄が走る。

「おまえたち、ケンカするなら、ご飯を抜きにしてもいいかい?」

「なにっ!?」

 食料を人質に娘たちを脅迫する母親。

「何を言っているのお母さん!? 私たちは仲良しよ! ねえ! 葉月ちゃん!」

「そ、そうです! 私たちはケンカなんてしてませんよ! ねえ! チキン!」

「コケッ!」

 こうして仲直りした葉月たちはご飯を食べに行く。

「勝った。アハッ!」

 勝ち誇る母親。

「おいしいね! 唐揚げ! ジューシーですな!」

「コケッ!」

 美味しそうに鳥の唐揚げを食べる葉月とチキン。

「こいつ、共食いしかしないのか?」

「完全にネタにになっているわ。」

 鶏が鳥を食べることに呆れる真理亜と楓。

「は~い! 今日のメインディッシュは鳥の丸焼きよ!」

 母親が新しい料理を持ってくる。

「やったー! 鳥さん丸ごと一匹だ!」

「コケッ!」

 生きてて良かったと思う人間とニワトリ。

「ダメだ!? こいつら食欲に目が暗んでやがる!?」

「お母さんも面白がって、鳥料理しか出さない!?」

 そういう母親から生まれて育てられている姉妹。

「だって、面白いんだもん! アハッ!」

 ニワトリに鳥料理を食べさせることを楽しみにしている母ひばり。

「明日はチキンカレーにしようかしら? アハッ!」

 完全に悪乗りしている母。

「いや~! 美味しかったな! チキン!」

「コケッ!」

 こうしてチキンは共食いしているのだった。

 つづく。

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