第10話 レッツ! クッキング!
「まず、チキンに小麦粉をつけます。」
葉月はチキンに小麦粉をぶっかける。
「コケッ!? コケッ!?」
小麦粉にむせるチキン。
「次に塩と胡椒で味付けをします。」
葉月はチキンに塩と胡椒を振りかける。
「コケッ!? コケッ!?」
塩と胡椒にくしゃみをするチキン。
「そして、チキンを高温の油にポンします!」
「コケッ!?」
葉月はチキンを油に放り投げる。抵抗する暇もないチキン。
「はい! 美味しいフライドチキンの出来上がり!」
チキンは天に召された。
「美味しいですね。フライドチキン。」
葉月の恐怖クッキングが完成した。
「コケッ!」
なぜかこんがりと揚げられたはずのチキンも美味しそうにチキンを食べている。
「あ!? チキンが共食いしている!?」
「コケッ! コケッ!」
美味しいからいいのだ。私にもフライドチキンを食べる資格はある。といっているようだ。
「面白かったですか? 気に入ってくれた方は、「葉月&チキン」のチャンネル登録をお願いします。酉の干支守の葉月と酉の干支、鶏のチキンがお送りしました。またね!」
「コケッ!」
ユーチューブの生動画配信が終わった。
「バッチリね!」
「コケッ!」
「時代の流れに合わせたのよ! 郷に入っては郷に従えってやつよ!」
「コケッ!」
その通り! とチキンも喜んでいます。
「でも、こんなニワトリがニワトリを食べるという自虐的な動画がウケるかしら?」
カメラを回していた真理亜が疑問をぶつける。
「どうだろう? よし! 閲覧数とチャンネル登録者数を見てみよう。」
葉月は画面を確認してみた。
「な、な、な、なんじゃこりゃ!?」
画面を見て何かに驚いた。
「0!? 誰も見てくれなかったというのか!? ガーン・・・・・・。」
「コケッ!? コケ・・・・・・。」
さすがの0に人間だけでなくニワトリも落ち込んだ。
「まあまあ、諦めないで。きっと今度は上手くいくよ。アハッ!」
「真理亜ちゃんは優しいのね。ありがとう。私はなんて良い友達を持ったんだ!」
真理亜との友情に涙を流しじんわりする葉月。
「コケッ。」
チキンももらい泣きしている。
「お姉ちゃん。カメラの電源が入ってないわよ。」
ここで真理亜の妹の楓のキラーパス。
「え?」
一同の目が丸くなり時間が止まり動きが止まる。
「おまえか! おまえの性か!」
「コケッ!」
動き出した葉月とチキンは激怒する。
「ウワアアアアアー!? 誰だってミスはあるじゃない!? 命だけは助けてください!? ごめんなさい!?」
命乞いをする真理亜。
「謝って許されるなら警察は要らない!」
「コケッ!」
しかし葉月とチキンの怒りは収まらない。
「おバカなお姉ちゃんでごめんなさい。今度は私がカメラを回しますから、真理亜お姉ちゃんを許してやってください。」
姉のために頭を深々と下げる妹。
「なんてよくできた妹さんなんだ!? 小学一年生に頭を下げられたら何も言えない!?」
「コケッ!?」
楓に感心する葉月たち。
「真理亜ちゃん。妹さんに免じて今回だけは許してあげるわ。」
「やったー! アハッ!」
気楽な性格の真理亜だった。
「楓、ありがとう。さすが、我が妹よ。」
「お姉ちゃんのおバカキャラに慣れているだけよ。」
「アハッ!」
これでも真理亜と楓の姉妹の仲は良い。
「それでは気を取り直して、テイク2! スタート!」
こうして同じ内容で、チキンのフライドチキンの動画が完成した。
「おおー!? 1億!?」
「コケッ!?」
初めての投稿で動画の閲覧数は1億人を超えた。
「元々、子供と動物は全世界共通でウケやすいから、ニワトリという題材が良かったのね。」
さらりと社会情勢を言う小学一年生。
「これも全て、私のおかげね!」
自信満々に言い放つ真理亜。
「それは絶対に違う!」
「コケッ!」
完全に否定する葉月とチキン。
「アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「次の動画は、チキンライスでどうかしら?」
着々と職務を全うする楓。
「チキンの首を刎ね飛ばして、真っ赤な地で白いご飯を染めるのよ。」
「それいいね。」
これが本当の血染めのチキンライス。
「コケッ!」
チキンも喜んでいます。
「あんた、また共食いよ?」
「コケッ!」
細かいことは気にしないチキンであった。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。