第9話 よろしく。

「初めまして。真理亜お姉ちゃんの妹の楓です。宜しくお願い致します。」

 ペコリと礼儀正しく頭を下げて挨拶する真理亜の妹の楓。

「こちらこそ。葉月と申します。こちらはチキンです。」

「コケッ。」

 つられて行儀よく挨拶する葉月とチキン。

「よくできた妹さんだ。」

「コケッ。」

 感心する葉月たち。

「よく言われます。アハッ!」

 自画自賛の楓。まだ7歳の小学一年生だ。

「分かった! お姉さんとお母さんが違うんだ! 両親の離婚と再婚で、悪い継母と義理の姉にいじめられているんですね!」

「コケッ! コケッ! コケッ!」

 名推理に興奮する葉月とチキン。

「実はそうなんです! お姉ちゃんとはお母さんが違うんです!」

 目から涙を零す楓の素晴らしい演技。

「やっぱり! そうだったのか!」

「コケッ!」

 名探偵葉月&チキン。

「違います! 楓は私の娘です!」

 母のひばりが反論する。

「ということは!? 真理亜ちゃんが他のお母さんの子なのね!?」

「コケッ!?」

「そうだったのか!? 私は橋の下で生まれた子供だったのか!? どおりでお母さんは楓にばかり優しくて、私には厳しいはずだ!?」

 疑心暗鬼に陥る真理亜。

「そんなことはありません! 二人とも私が生んだ、私の娘です!」

 断言する母のひばり。

「お母さん! うえ~ん!」

 泣きながら母に抱き着く真理亜。

「ええ~シーンですな。クスン。」

「コケッ。クスン。」

 じんわりと思わずもらい泣きする葉月とチキン。

「お茶を入れたので良かったらどうぞ。」

 楓が気を利かせてお茶を入れてきてくれた。

「よく気ができた妹さんだ。」

「コケ。」

 楓に感心しまくりの葉月たち。

「母と姉に構っているとキリがないので、縁側で飲んでください。」

「ありがとうございます。行こう、チキン。」

「コケッ。」

 言われた通りに縁側に移動する。

「ほっこりしますな。」

「コケッ。」

 縁側でお茶を飲む一人と一匹。

「良かったら、お団子もどうぞ。」

 楓がお団子も持ってきた。

「いや~、本当に気が利く子だ。とても真理亜ちゃんの妹さんとは思えない。」

「コケッ!」

 美味しそうにお団子を食べる人間と一匹。

「よく言われます。アハッ!」

 でも笑い方は姉と同じなのであった。

「あなたたちは真理亜お姉ちゃんのお友達ですか?」

「いいえ。違います。」

「コケッ。」

 恥ずかしいので真理亜の友達を辞退する葉月とチキン。

「私たちは・・・・・・控え! 控え! このお方をどなたと心得る! 八月の干支! ニワトリのチキン様であるぞ!」

「コケーッ!」

 仁王立ちするチキン。

「はいっ?」

 急な展開についていけない楓。

「頭が高い! 控えおろう!」

「コケッ!」

 結論からいうと干支のニワトリは偉いのだ。

「ははー! ニワトリ様! チキン様!」

 平伏してチキンを崇める真理亜。

「あ! 思い出した!」

 葉月は何かを思い出した。

「酉月さんに人気が無いから干支を人気者にしてほしいと言われたんだった!」

 この物語は干支が中心です。

 つづく。

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