第8話 お世話になります。

「ということで、お世話になります!」

「コケッ!」

 葉月とチキンは家出した。

「どういうことよ!?」

 相手は真理亜だ。一人と一匹は真理亜の大神家にやって来ていた。

「朝、ニワトリは大声で鳴くからマンションで飼ってはいけませんって、お母さんが言うの。酷いでしょ。」

「コケッ!」

「そもそもマンションで動物を飼ってはいけないのでは?」

 葉月の言い分に疑問を抱く真理亜。

「チキンが朝に鳴くのは、ただの職業病だもんね!」

「コケッ!」

「職業病・・・・・・。」

 葉月は聞く耳を持たない。

「で、なんで我が家なのよ?」

「この不動産の高い東京で一軒家に住んでいる友達は、真理亜ちゃんだけだもの。」

「まあね。私クラスになると家に住んでいるものよ。」

 褒められてまんざらでもない真理亜。

「ちょろい。単純ね。真理亜ちゃんは誉め言葉に弱いから。ウッシッシ。」

「コケ。」

 聞こえないように見えないように小声で話す葉月とチキンはこっそりと笑う。

「なんか言った?」

「言ってません!?」

「コケッ!?」

 人の本心とは、バレてはいけないのだ。

「我が家で生きていくなら、私の命令には絶対服従よ! アハッ!」

 アハ神として、エッヘンとしている真理亜。

「ははーっ! お代官様!」

「コケ!」

 平伏す一人と一匹。

「私は偉いのだ! アハッ!」

「アハッ! じゃない!」

 そこに一人の大人の女性が現れる。

「ゲゲゲッ!? お母さん!?」

 現れたのは真理亜の母親のひばりである。

「ゲゲゲッ!? お母さん!? じゃないでしょ! 真理亜!」

 母親は威張り散らしている娘を叱りつける。

「おお!? 私たち難民を救って下さるお母様は救世主だ! チキン! 私たちは助かったのだ!」

「コケッ!」

 真理亜の悪政から救われたと思った葉月とチキン。

「ゲゲゲは鬼太郎でしょ。」

「あ、そっか。アハッ!」

 似た者親子であった。

「ダメだこりゃ!?」

「コケッ!?」

 思わずニワトリも転んだ。

「真理亜! この家はお父さんが稼いで建てたのよ! あなたの物じゃありません!」

「ううっ!? そう言われると!?」

 娘を窘める母親。

「おお! メシアよ! やはりお母様は私たちを救ってくれるメシアなのだ!」

「コケッ!」

 その姿に救世主の面影を重ねる葉月とチキン。

「この家はお父さんと結婚した私の物です! アハッ!」

「あ、そうだね。アハッ!」

 変に納得する真理亜。

「なんじゃこりゃ!? この似た者、母娘は!?」

「コケッ!?」

 この母に、この娘ありと実感する葉月たち。

「いらっしゃい。うちのお母さんとお姉ちゃんに構っていると命が幾つあっても足らないわよ。」

「え?」

「コケッ?」

 そこに新しい幼女が現れる。

「楓!?」

 現れた幼女の正体は!?

 つづく。

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