第13話 チキンと歩く

「鳥だ! 飛行機だ! ・・・・・・ニワトリだ!?」

 葉月は頭にチキンを乗せているので、道行く初対面の子供に指を指される。

「チキン、なんだか私たち目立っているみたいよ。」

 葉月とチキンは学校への道を歩いている。

「コケッ!」

 人気者は辛いぜ! とチキンは言っている。

「なんかアイドルになったみたい! 嬉しいー!」

 葉月は他人の目など気にするような人間ではなかった。

「コケッ!」

 お役に立てて光栄です。と言っている。

「私たちは目立ってなんぼよね! アハッ!」

 イマドキの現代人はユーチューブの閲覧数とチャンネル登録者数を増やすためなら何でもするのだ。

「コケッ!」

 これで干支の人気もうなぎのぼりだ! チキンも喜んでいる。

「真理亜ちゃん、閲覧数は増えた?」

「バッチリよ! 現在2億人!」

「2億人!?」

 頭にニワトリを乗せた女子高生は世界を驚かせた。

「やったー! 単純計算! 200万円ゲットだぜー!」

「賞金は山分けだからね!」

 イマドキの現代人はお金のことしか頭になかった。

「チキン、学校帰りにKFCに行ってフライドチキンの共食いしようね!」

「コケッ!」

 鶏のチキンの大好物はフライドチキン。

「葉月ちゃん、勝手にお店の名前とか使っちゃあいけないんだよ。」

 法律か権利の問題だと思う。

「ケンタッキー・フライド・チキンじゃないよ。」

「え?」

「KFCは、勝手にフライドチキンだよ。」

「なんだ、そっか。アハッ!」

「コケッ!」

 これでフライドチキン問題は解決。

「チキン、今日はポテトも付けていいよ。」

「コケッ!」

 フライドチキンだけでなく、ポテトも大好物なチキン。

「丸々と太ったら、出荷してやる!」

「おまえは悪魔か!?」

 チキンの運命は葉月に握られている。

「コケッ?」

 出荷の意味が分かっていないチキン。

「あれ? なんだか頭がゴワゴワするな? なんだろう?」

 葉月の頭に何かある。

「もしかして!? チキンがおしっこか、うんこしたんじゃない!?」

「なんですと!?」

 葉月の頭は絶体絶命のピンチ。

「この感覚は・・・・・・まさか!?」

 葉月は何か懐かしい感覚を感じる。

「卵だ!」

 葉月は頭から卵を取り出した。

「なんですと!?」

 チキンが卵を産んだことに驚く真理亜。

「コケッ!」

 少し恥ずかしそうなチキン。

「やったー! 今日のおやつは生卵だ!」

 卵を発見して喜ぶ葉月。

「生で食うんかい!?」

 ツッコム真理亜。

「コケッ!」

 美味しく食べてね、っとチキンは思う。

「いいな。オチはチキンが卵を産むにしよう。」

「それなら、チキンに「コケコッコー!」と鳴いてもらったらいいんじゃない。合図として。」

「それいいね。採用。」

「やったー! アハッ!」

「コケッ!」

 何だか楽しそうだと嬉しいチキン。

「学校に到着!」

 葉月たちは無事に学校にたどり着いたのだった。

 つづく。

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