Lv.8 凛として俺は前を向く。(前編)

 次に個々のステータスを示す。


 名前  :ケン(16歳・171cm・男性)

 レベル :Lv.27

 生命総量:89

 体力総量:107

 物理攻撃:98

 魔法攻撃:60

 物理防御:89

 魔法防御:59

 俊敏性 :29

 器用度 :121


 名前  :シュン(15歳・175cm・男性)

 レベル :Lv.30

 生命総量:108

 体力総量:108

 物理攻撃:108

 魔法攻撃:72

 物理防御:108

 魔法防御:72

 俊敏性 :36

 器用度 :180


 名前  :リン(15歳・160cm・女性)

 レベル :Lv.23

 生命総量:69

 体力総量:62

 物理攻撃:62

 魔法攻撃:138

 物理防御:62

 魔法防御:55

 俊敏性 :23

 器用度 :138


 名前  :リキ(17歳・180cm・男性)

 レベル :Lv.28

 生命総量:84

 体力総量:84

 物理攻撃:84

 魔法攻撃:56

 物理防御:100

 魔法防御:86

 俊敏性 :25

 器用度 :98


 名前  :有名アリナ(―歳・155cm・男性)

 レベル :Lv.4

 生命総量:4

 体力総量:4

 物理攻撃:4

 魔法攻撃:4

 物理防御:4

 魔法防御:4

 俊敏性 :4

 器用度 :4


 あれ? 俺、Lv.4なんだ。何を勘違いしていたのだろう。てっきりLv.8くらいになってると思ってた。




 ――スタータスを確認し、ケンは顔を真っ青にした。


「何かの間違いですよね?」


 ケンは苦々しく笑う。


「これは転移装置だ。有名アリナに何かのことがあれば、すぐにこれで引き返してきてくれ。目的地は私の書斎になっている。

 死後一時間までなら、私の《蘇生魔法》で生き返らせられるが、それよりも長い時間は無理だ。三つしかないが、これで足らしてくれ」


 ジジイはそう言って、ケンに転移装置を手渡す。

 貴重らしいそれを慎重に鞄に詰めるケン。もう一度だけ顔を上げ、再度「何かの間違いですよね?」と問うと、ジジイは「では、よろしく頼んだぞ」と言って、書斎の扉を閉じた。

 扉前に残されたケンは、後ろで話を盗み聞きしていた俺たち(俺、リン、シュン)の方に振り返ると、はあと溜め息を吐く。


「アリーナと一緒に出発だ。あそこまでされちゃ引くに引けない」




 話は昨日の夜へと遡る。

 めでたくシュンと友達になった俺は、そのままケンさんやリキさんとも仲良くなった。夕食後、大広間の一角で布団を並べ、ワイワイと修学旅行の夜のような雰囲気で盛り上がっていると、屋根裏部屋からリンさんがひょっこりと現れる。


「楽しそうね。あたしも混ぜてよ」


 薄手のワンピースのような寝間着を着たラフな格好のリンさん。本来見てはいけない中のものが見えてしまいそうなほど、危うい姿のリンさんに俺は戸惑うが、ケンさんは顔色一つ変えず、輪の中へと招き入れる。

 さすが、一緒に旅をしてきた仲なんだなとリンさんから目をそらして考えていると、隣でリキさんだけは、無表情で顔を真っ赤にしていた。やっぱりこの格好で男達の前に出てくるのは非常識ですよね!

 リンさんが参加すると、話はさらに盛り上がった。

「あの魔獣は強かった!」「あの街はきれいだった」「あの洞窟は死ぬかと思った」などなど、旅のエピソードが盛り沢山。

 そんな彼ら冒険者の日々は、俺にはとても眩しかった。

 初めのうちこそ、ケンさんとリキさんは二人だけで旅をしていたらしいのだが、途中、首都でシュンと出会い、その三日後に、学校を卒業したばかりのリンさんと仲間になったそうだ。

『旅は道連れ、世は情け』というか、旅の途中で仲間を増やしていくというか。そんな風に旅をする彼らの姿は微笑ましくもあり、俺にはとても魅力的に映った。

「ケンさんはどうして旅に出たんですか?」という素朴な疑問に、「ケンでいいよ」とケンは答えると、長々と旅の目的を話してくれた。

 仲間たちにとっては耳タコであるらしく、リンが「はいはい勇敢勇敢」と話を遮ると、今度は自分が通っていた魔法学校について教えてくれた。

 話は自分が如何に天才かというところから始まり、自分の得意な魔法に、苦手な魔法。ついでに仲間の男たちのダメなところを教えてくれた。

 リンの話に収拾がつかなくなってきたころ、シュンが俺に聞いてきた。


「アリーナ。お前の話も聞かせろよ」


 はてさて、何から話そうか。

 自分が転生者であることを話すべきか迷って、俺は自分が記憶喪失であることから話すことにした。そしてジジイとの約束で、将来的には魔王討伐も考えているということ。それに対する目処はまだ立っていないこと。

「オツキのことは話しとかなくていいのか?」とシュンが煽るので、俺は素直にオツキへの気持ちも話す。

 ケンは微笑み、リンが黄色い声を上げる。

 すると、ケンはこんなことを言い出した。


「なら、明日。俺たちと一緒に森へ行こうぜ!――」

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