第13話

「だっ駄目だリア!」


 レオナールはリアに縋るように引きとめる。


「ごめんね、魔法持ちなのに戦えなくて……私が魔法の使い方を知っていれば、ごめんね」


 何度も謝るリアの目には涙が溜まっていてレオナールはもう他に方法はないと悟り引き留めていた手を緩める。


「そんな……嫌だ……」


 そう呟きながら泣くレオナールを優しく抱きしめて別れの挨拶をした。


「ジョシュアさん、二つ約束してほしいことがあります。約束してくれるなら逃げもしませんし逆らいません」


「内容によるが話してみろ」


「一つ、レオナールとアレンさんの命の保証。もう一つは指輪は没収しないでください。この二つを守ってくれたらついていきます」


「守らなかったら?」


「自害します」


 ジョシュアは少し考えてから承諾しリアはジョシュアの元へ歩き出した。


「レオナール、アレンさんお元気で」


 ジョシュアやその部下たちは魔法石を取り出しそれを地面に叩きつけた。魔法石が割れた瞬間、魔法陣が展開し光に包まれ眩しくて目を閉じて次に目を開けたら違う場所に立っていた。転移魔法石とジョシュアが言っているので魔法石にも種類があるのだろう。ジョシュアの後ろを静かについていく。


「とりあえずここに入っとけ」


 一仕事終えて疲れたのか気怠そうに言って近くにあったソファに座りお酒を呑みだした。大人しく指さされた牢屋に入る。窓がなくロウソクの灯りだけでがこの空間を照らしている。どこかの地下室なのかと鉄格子越しに辺りを見まわすがよくわからないので諦めた。本で読んだ牢屋は骨や死体が転がって不衛生な事が多いがここの牢屋はゴミ一つ落ちてなくて綺麗だ。


「私はこれからどうなるのですか?」


 ジョシュアに自分の未来を聞いてみる。きっと好きでもない男の魔法持ちの子供を産ませられると分かりきっているが、とりあえず心の準備をしておきたい。


「あー?お前はお偉いさんにもらわれるんだよ、後は俺も知らねえ。魔法持ちのガキしかも女を攫うと大金が貰えるんだ。お前のおかげで俺は大金持ちだよ」


 お偉いさんとはやはり貴族だろうか?どうかいい人でありますようにと願うばかりだ。ジョシュアはこちらをお酒を呑みながらジロジロとみる。


「やけに冷静だな、今までのガキは泣きわめくなりしたんだがな?」


 本当はレオナールの元へ戻りたい。だがレオナールとアレン様を守るために自ら決心してついて来たのだ。彼らを守れたのだから泣く必要はない。それに私の意思は関係なく結婚して魔法持ちの子供を産むまで子供を産み続けるのが運命なのだ。そこに恋愛感情があるかないかの話である。


(私は結局そうなる運命なのだ……本当はあの生活から抜け出せたらなんでも良かったのかもしれない)


 と指輪を見て思った。

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