第9話
「父上!マイケル様!話があります!」
レオナールは応接室の扉を開けアレンとマイケルの会話に割って入った。リアはレオナールの手をしっかり握って隣に立った。マイケルはそんな二人を見て上機嫌に笑った。
「もう仲が良くなってるじゃないか!これは我々の未来も明るいですな、アレン殿?」
「そうですね。さて、その話は良い話なのかな?」
アレンとマイケルがレオナールに視線を向ける。リアは秘策があると言っていたレオナールを信じることにした。きっと今すぐソティアラのフレール家に嫁ぐ口実があるに違いない。レオナールは大きく息を吸い込んだ。
「父上!無理を言ってすみません!!マイケル様!いえ、お義父さま!娘さんを私に下さい!!!!」
と深々と頭を下げた。その場はしーんと静まり返り、まさか秘策がこれだとは思わずどうしようとリアは慌てふためいた。ツッコミを入れたかったがマイケルが機嫌を損ねるかもしれないと黙っていた。するとレオナールの父アレンは大笑いした。マイケルは大笑いのアレンに驚きながらも考える素振りをみせて、やがて計算の答えを閃いたかのような笑みでリアを見た。
「娘を気に入っていただけたようで嬉しい限りです。縁談は成立ということでよろしいかな?」
マイケルの問いにレオナールは元気よく返事をして、さらに続けてこう言った。
「可能であればリアさんには今すぐフレール家の次期当主の妻として迎え入れたいと思っております」
その言葉にマイケルは驚いた。
「レオナール殿は今日にも娘を連れて帰りたいということですかな?」
レオナールは真っ直ぐマイケルを見て
「はい。リアさんを必ず幸せにします!」
と誓った。アレンは息子の覚悟は本物だと感じマイケルにこう交渉した。
「今すぐリアさんを息子の妻として認めて連れて帰ってよろしいなら、モラレス家へ友好の証としてさらに援助をすると約束しましょう」
マイケルは援助という言葉に感情を隠しきれない様子でニヤニヤして
「アレン殿がそこまで仰るのなら喜んでリアを連れてお帰りください。リアもレオナール殿を気に入っているようなので」
リアとレオナールはパッと表情を明るくさせ喜んだ。アレンはリアの目線の位置にしゃがみ
「これからは私たちも家族だ。リア、心から歓迎する」
「はい!!」
優しい未来の夫、優しい義理の父。そして新たな生活への期待で震えていた。でもこれは恐怖ではなく、初めての感覚だった。今日のことはきっと一生忘れないだろう。これから新しい人生をレオナールと共に刻んでいくのを楽しみに生きていくんだ。罵られるこも殴られることもなくのびのびと。
「レオナール!」
リアはレオナールの名前を呼び手を握って
「ありがとう!!よろしくね!」
と言った。レオナールは頬を赤くし手を握り返して「こちらこそ」と笑い合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます