かいだんの先は

@dmayndrome

第1話...逢魔時と忌名

とある日の帰り道。

何となく真っ直ぐ家に帰る気になれず、

普段通らない道を選び帰る事にした。


きっと僕はつかれていたんだと思う。

実際、何処をどう歩いたのかよく覚えていない。


気がついたら四ツ辻に立っていた。

住宅街のようであるが辺りはシーンと静まり返っており、人の気配もしない。


もう日も落ち夕暮れ時である。

帰宅する人がいてもおかしく無いと思うのだが...

不思議に思いながらもとりあえず、歩き出そうとしたら声を掛けられた。


「○○君?」


聞いた事のある声に立ち止まる。

多分、学校だろう。

声の主が近付く気配がした。


「○○君だよね?」


今度は名前を呼ばれた。

一瞬、振り返ろうと思ったけど無視して歩き出す。


「〇〇君!」


今度は立ち止まる事も無く歩き続けた。

声の主はその後、何度か名を呼んできたが、

追ってくる様子は無かった。


適当に角を曲がると見知った道に出た。

途端に夢から覚めたように人の雑踏や街の音が僕を包む。


まぁ、何であれ僕を名字や名前で呼ぶ同級生等いる筈が無い。関らないに越した事はない。

ましてや、異性だなんてネ。

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