@shuken0701

第1話

あっ、今あくびした…

初めて見た。下川くんのあくび…

元々細い目が口元の筋肉に押されていつも以上に細くなって見えなくなってる。

なんてことの無い当たり前の行為だけれど下川くんの行動だと思うとすべて美しく見える気がした。

眠そうにうとうとと瞼を上げ下げする様子もとても可愛い。

見れば見るほど好きになっていく気がした。

「じゃあ…梅!この問題出来るか?」

…下川くんを見ていて黒板を見れていなかった。また失敗だ。

「あっ……えっと…」

私は元々声を出すのが苦手だった。

精一杯喉から絞り出しても裏返るのが怖くてなんとなく大きな声では話せなくなっていた。

なんというか…趣味?の影響もあって疑り深くなってしまっていて常に心配をしているからかな…

「…できません」

「そうか…じゃあー…下川!どうだ?」

あ…下川くん、寝ちゃってる…

いつもの気難しそうな顔とは打って変わって優しい顔をしていた。思わずクスリと笑ってしまう。

クラスの全員の目が下川くんに向いてクラスに静寂が走る。

ウチのクラスの慣習で、「寝ている人を見つけたら起きるまで全員で見続ける」と言った物がある。まあ、暗黙のルールみたいな物だけど…

こくり、こくりと、下川くんの首が水飲み鳥のように見えた。下川くんは五回程くびをこくこくさせた後目覚めた。

「…さて、この問題分かるか?」

いじわるな先生はニヤニヤしながら下川くんに質問をする。これも慣習だ。

「…⚫⚫⚫⚫⚫ですよね…?」

「お、分かってるじゃないか!流石下川だ!」

先生は黒板に目を向け、また文字を書き始める。

私はそんな物は気にせずに下川くんを見ていた。またうとうとしている。可愛い。

私は下川くんとそんなに席が近くないから起こしたり出来ない。席が隣だったこともあったんだけど…あんまり話さなくなってしまった。

それに好きだから…なんだか声をかけづらい。

真面目に授業を聞いてる横顔はカッコいいし眠りそうでうとうとしてる時は可愛いし…

…下川くんって…彼女にはどんな感じに振る舞うのかな?彼女いるって聞いたことないけど…

いないなら…なりたいなー…

「…よし、じゃあ今日はここまで!起立!気をつけ!礼!」

「ありがとうございました!」

その声で我に返った。

…また、下川くんの見過ぎでノート取り忘れた…

…まぁ、仕方が無かった!可愛い下川くんが悪いって事で!だって見てるだけでシアワセになるんだもん…授業よりずっと大事!

下川くんが、こちらを向きかけたので慌てて視線を手元のノートに落とした。

危ない危ない…

ふと、ノートに書かれていた四字熟語をみて、下川くんのことを好きになったときのことを思い出した。 


あれは確か…一学期の終わり頃…

クラスの騒がしいほうの女子のわがままで席替えがあって…それで下川くんと隣の席になったんだ…

初めはあんまり目だたない人だと思ってたんだけど…結構一対一だとよく喋るんだよね下川くんは…


「また隣の席だね。よろしくね。」

下川くんはあまりにこやかに笑う人じゃない。

なんとなく引きつったような笑顔で私にそう言ってきた。

「あ…う…うん…」

突然だったから声が出なかった。

いつも、いつもだ。

いつもそうして声が突っかかる。

それで第一印象が悪くなってしまうんだ。

でも、

下川くんは違ったんだ。

今までの人とは違う、嫌がるような目ではなくて、細いながらも輝きを放っているような目で私を見つめていてくれたんだ。

顔をまじまじと見つめられて恥ずかしさで思わず声が出た。

「あ…あ……ぅ…」

「…話すのにがて?」

「…うん」

顔が燃えているように熱い。

恥ずかしすぎる…

「せっかく隣になったんだし、沢山話せると良いね!」

…それが人見知りの隣の席の異性に言うことですか下川くん。


しかも赤面してないじゃないですか。

もしかしてこれ素で言ってるんですか。

女子にこんなことなんのためらいもなく言っちゃうんですか下川くんは。

下手したら勘違いされますよ私みたいに。

ますます顔が燃えさかっているような感じがした。

そんな私にはお構いなしに下川くんは続けた。

「一期一会って言うじゃん?俺は梅さんの事少しも知らないしお互いにもっとしりあえたらいーなーって。」

…貴方こんなに元気な人でしたっけ。

私を焼き殺すつもりですか。

血液沸騰しますよ。

はぁ…好き……好き…大好き

…っは!しまった無言が長くなってた…

「こっ…こちらこそよろしくお願い…します。」


私のノートにはいつも通りの雑な字で「一期一会」と書かれているけれど、なんだか光って見えるような気がした。

………思い出すだけで顔が燃えそうだ。

あれから気を抜いてると目が下川くんの方にふらふらと泳いでいってしまう。ときどき目が合ってものすごくドキドキする…

「梅さん」

「ひゃいっ!?…」

自分でも驚くほど上擦った声が出た。

そして慌てて目線を会わせた先には…

下川くんがずいぶんと上手くなった笑顔で私を見ていた。

「そんなに驚かなくても…」

そうは言うけども下川くんは口に手を当てて思い切り笑いをかみ殺しているように見える。

うー…恥ずかしいよ…

「あのさ、昼休みの時屋上来てくれない?」

…この人何言ってんの?

経験はなくて漫画の知識しか無い私の恋愛脳は何度違うと自分に言い聞かせても「告白」の言葉を検索して表してくる。

「なんて言うか…二人で話したいこともあるし」

…キャァァァァァァアア…

恥ずかしい恥ずかしい…

まだ何も言われてないのにこれまでに感じたことないほど体が熱い!体の内側から溶岩が沸いているみたいだよ…

「…わかった」

「おっけ!じゃあねー」

頬に両手を添えて顔の火を鎮火する。

ああぁぁぁあ…

下川くんの彼女かぁ…

って…違う違う!まだ何も決まってない!

「はぁ…」

うっとりとしてため息が出る。

時計と時間割に交互に目を向ける。

今は三時間目。

昼休みはもうすぐだ。

四時間目の国語はもう頭の中に入らなかった。

気がついたら終わっていた。

何かに熱中すると、こんなにも時間は早く過ぎるんだと、なんとなく思い知った。

みんながガヤガヤと騒いでいる四時間目終了後の短い時間の間に下川くんは私の横をスッと通り抜けながら小さく言った。


「屋上で待ってるね」


そのまま私の返事を待たないままスタスタと行ってしまった。

はぁぁぁぁぁああ…

すきすきすきすきすき…

大好き…

気持ち全部素直に言えたらいいのに…


私は弁当箱を抱えたまま勢いよく階段を駆け上った。

一段一段を踏みしめるたびに私の胸は張り裂けそうなほど強く鼓動を放つ。

その強い鼓動はそのまま腕に伝わってドアを勢いよく開ける。

ドアの向こうには、こちらを上手な笑顔で見つめる下川くんがいた。


「来てくれたね、梅さん。」

フェンスに手をついてもたれかかるようにしている下川くんは、太陽の光に照らされていつも以上にかっこよく見えた。

「うっ…うん…」

私は思わず両手を合わせてもじもじしてしまう。顔が真っ赤なのを見られたくなくて下を向く。

「梅さんはやっぱり可愛いね。」

クスリと笑いながら下川くんがとんでもないことを言っている。

「なっ…なっ…何言ってるの!」

「わぁ!真っ赤な顔!可愛いなぁ…」

外気で冷えた手で顔の火を消そうとする…でも消えない。

下川くんはそんな私をみて意地悪な笑顔を浮かべている。

ほんとは、ものすごくうれしい。

好きな人に褒められるなんて初めてのことだったし…可愛いって言われて嫌な女子なんて早々いないと思う。

ふつう、こんなことを言ってくるような人はナンパくらいのものだし、嫌悪感が自然とわきそうだけど、下川くんの口から出ている言葉だと思うと嫌な気持ちは少しも沸いてこなかった。

「どう言うつもりなの…?」

可愛いと言われたのはうれしかったけれどよく考えたら私に可愛い要素なんて無い。

正直、私は自分の容姿には自信が無い。

目に少しかかった長い黒髪。

髪が伸びるのが早くてすぐこんなになる。

ふぁっひょんなんて気を遣ったことがないし…

下川くんは、両手を広げて言う。

「ただ個人的に興味があっただけさ。梅さんにね。」

下川くんの顔はいつも通りの意地悪な笑顔。

何かを隠しているような、それに気づかない人を嘲り嗤うような…そんな顔。

でも、「個人的に興味があった」というのはなんとなくうれしいな…

好きな人に考えて貰えてたなんて…

「どういう興味…?」

好きなのかな…

好きでいて欲しいなぁ…私のこと…

「今は秘密だけどね。そのうち教えるよ。」

そのうち…?

その言葉を聞いて、唐突にいま、好きな人と二人きりで屋上にいるという現実が改めて突きつけられたように感じた。

心臓の鼓動が思い出したように速いリズムを刻み始める。

頭の中で天使と悪魔が言い争っている。

思いを伝えるか、伝えないか。

でも、天使は大群を引き連れて悪魔をボコボコにしている。

結果として私の中の天使が押し切り、私は覚悟を決めた。


「えっと…下川くん!」

もう後には引けない。

背水の陣。

「なーに?」

あっけらかんと薄ら笑いを浮かべながら下川くんは返事をする。


そののほほんとした態度が好き。

真面目な横顔が好き。

可愛い寝顔が好き。


その思いを、胸に湧き出てくる気持ちを脳で組み直して声に出す。


「好きです!」

ほんの四文字の言葉が空気をシーンとさせる。

風がタイミングよく音を鳴らしながら私たちの間を駆け抜ける。

恐ろしくて地面だけをみている。私の視界にあるものは私の靴と灰色のコンクリートだけ。

下川くんの顔は見えない。

みる余裕なんて無い。

いまはただ、返事を待つ。




...、やばい。

めっちゃ調子乗ってた...。

僕はいつもクラスではあんなふざけた調子だけど実際は小心者だ。

今回こうやって屋上に連れてきたのは...、単に一緒にいたかっただけだったし、かわいいって言ったのはそう思ったからだし...。

...、告白されるだなんて思ってもなかった。

いや、うれしいけど...。

こういうのは男からいうものだって、僕の貧相な恋愛脳は考えていたからなんだか悲しくも思える。

前から梅さんのことは気になってた。

初めて話したときに思った以上に声が高いことに驚いて...、それから気づいたら眺めてることが多くなって...。

好きになってたんだ。

見れば見るほどかわいく見えだしてさ、最初とは全くの別人に見えてきて。

そんな人が今僕に赤面しながら告白している。

人間は緊張がマックスになったら心臓の鼓動はどくんどくんじゃ表せないくらい早くなることを知った。

心臓の鼓動は胴体だけじゃなくて足や手、頭にも伝わって振るわせだす。

そして僕は腑抜けたようになってしまう。

格好よく返そうと試みるけどやっぱりだめだ。

開いた口は二の句を継ごうとしてくれない。

僕は息を吸うことを忘れていたみたいで、すった息がのどを焼くようでせき込んでしまう。


「...、大丈夫...?」

ああ、僕カッコ悪いなあ...。

上っ面だけ演じるのうまくて。

内側はてんでだめで。

今から自分をさらけ出したってきっと、梅さんが好きなのは上っ面だけの僕なんだろう。

なんでもっと自信がもてないかなぁ…。

そしたらちゃんと、カッコいいままでいられて、梅さんにも好きでいて貰えたのかな…。


梅さんの顔を見ると、少し涙が浮かんでいる。

返事が遅かったからか?


……まって、なんでそんな顔するの?

こんな格好よくもない僕は嫌いじゃないの?

梅さんは僕が無言であり続けていることが断りのサインのように思えたようで、涙をポロポロと流し始めてしまった。


やめてよ。

泣かないでよ…

可愛い顔が台無しだよ?

クラスの奴らバカだから、無言なだけで梅さんのことを嫌ってるけど…ほんとはこんなに可愛いことみんなは知らないだけなのに。

僕はまたいつもみたいに優しいような声を出した。

…出そうとした。

でも、目の周りが熱くなって声が出てこなかった。

梅さんがキョトンとして、赤い目でこっちを見ている。

頬を触って、自分が泣いていることに気づいた。


ほんと最低だ。

こんな奴じゃ、きっと好きでいてくれないんだろうな。

でも…

もし梅さんが僕のことをすきでいてくれるなら…

本当の僕を好きでいてくれるなら…

本当の僕を優しく受け止めてくれるなら…


その優しさに、甘えても良いですか?


「…梅さん」

僕はなるだけ涙で声が震えないように言葉を搾り出した。

「…いつもの僕がほんとの僕じゃないとしても…僕のことを好きでいてくれますか?」

僕も梅さんも顔が真っ赤だ。

今、梅さんはどんなことを考えてるんだろう。




え!?

なんなのなんなの下川くん!?

顔赤い!

泣いてる!

私の知ってる下川くんとぜんっぜん違うんだけど!?

私は驚きと困惑で何も言えなくなる。

まるで別人のような態度になってしまった下川くんは私の目の前で下を向いて微動だにしなくなった。

「好きでいてくれますか」なんて…そんなのこっちが聞きたいよ…私はほんとに…ほんっとうに下川くんのこと大好きなんだから…

下川くんは…人と話すのが苦手な私に優しく話しかけてくれた。その心遣いが嬉しくてたまらなかったの。

クラスの男子は面食いばっかりだから私のことなんか少しも見てない。

私に可愛いって言ってくれたのが嬉しかった。

自分ではそう思ったことなかったけど、下川くんにそう思って貰えたんならとても嬉しい。

かっこつけて無くても、これが本当の下川くんなら…


私は下川くんのこと、ずーっと好きでいるよ。


「私は…下川くんのことずっと好きだよ!どんなでも…下川くんは下川くんだよ!」


誰だってかっこつけたいよ。

私だって、下川くんが可愛いとか言ってくれるまで自分のことは嫌いだった。

最初から自分のことが好きな人なんてそうそういない。

理想になろうとして何が問題なの?

それに、本当だとかいつものだとか私はどうでも良い。


私は、私に生まれて初めて可愛いって言ってくれた、下川くんのことが好きなんだから。


そんな人と一緒になれるならこれ以上いいことは無いよ。

私は下川くんの返事を待つ。

下川くんはなお、下を向きっぱなしで微動だにしない。


空気が凍り付いて肌に張り付いているような感じがして、私も微動だにできない。

私の胸の奥に、一つの決意がみなぎる。

生まれて初めて抱いたその気持ちに私は混乱する。

自分から積極的に物事を行うことがなくて、脳のそういうことをする部分はさび付いているようだった。

私は自らの脳に鞭を打って自分を奮い立たせる。

脳や心臓は弱音を吐くが私はかつて無いほどやる気に満ちていた。

私は息を整える。

心臓の音に聞こえないふりをする。


そして私は、心の底から愛する人に目を向ける。


自信なさげなその態度も。

簡単に可愛いって言っちゃうところも。

コクコク居眠りするその寝顔も。


全部まとめて大好きだよ。下川くん。


私は下川くんに歩み寄って、あたまをポンポンと叩く。

それで下川くんは顔を上げる。

涙で赤く染まった顔も、やっぱり私は大好きだ。

私は下川くんの顔を眺めたあと、笑って、下川くんの胸元に飛び込んで思い切り抱き締めた。

良い匂い…

暖かい…

幸せ…





ええええええ!?!?

びっくりした…なんだこの状況!?

なんで急に抱き締めてきたの…?

さっきまでの沈黙を破るため!?

いや…あれは…単に嬉しくて動けなかっただけなんだけどな…なんでこんなに積極的になれるんだろ?

わからないよ…梅さん…

でも…まぁ…

いっか。

僕も梅さんのこと大好きだし。


「…ありがとう。梅さん。僕も好きでいさせてね…」


僕はゆっくりと両手を広げ、胸元に抱きついた梅さんの背中にそっと手を添えて、ポンポンと叩いてから抱き締めた。

心臓から体の隅々までが暖かくなっていくようだった。


この暖かさはきっと、太陽のせいじゃないだろう。

たぶん。


「あ…ねぇ、梅さん。」


僕は唐突に思い出した。


「ん…どうしたの…?」


すっかり忘れてた。

順序がおかしくなっちゃったよ。


「梅さん。僕と付き合って下さい。」





あぁぁぁぁぁぁあ…

夢じゃない!?これ夢じゃないよね!?

うんうんうんうん!

付き合う!付き合いたいよ!

下川くんのこと大好きだし!

てか…順序おかしいね…

ハグしてから付き合うって…

ま、いいよね!

やばい…嬉しすぎてニヤニヤしちゃうよ…

えへへへ…


「こちらこそ…よろしくね…!」


私達はお互いの暖かさを感じながら、幸せに浸りあっていた。


昼休みの終わりを告げるチャイムが、幸せな時間を終わらせてしまう。

私が腕を放すと、下川くんもすぐに手を離した。

私と下川くんは向き合ったまま、お互いの言葉を待つような形になっている。


私は今くらいは、自分に素直になろうかな?と思った。


もう一度前に出て、下川くんを両腕で抱き締める。

二秒くらい力強く抱き締めた後手を離して、下川くんの顔を見て、にっこりと…出来るだけ笑って言った。


「これからよろしくね!彼氏くん!」





梅さんはそう言うとすぐに走り去って屋上から出ていった。

僕はなんだか不甲斐ないような気持ちになる。

この一連の出来事のほとんどの主導権を梅さんが握っていたようで悲しい。

僕も男だから、もっとカッコいいところを見せたい。

僕に出来ることは何かないのかな?

梅さんならこの後どうする…?

その先を読めないかな…

……まてよ…梅さんなら…






私は走って屋上からの階段を駆け下り、踊り場で壁にもたれかかって顔に手を当て、顔の炎を鎮火する。

あぁぁぁ…

やっぱり恥ずかしい!

ちょっと頑張り過ぎちゃった…

心臓の鼓動が速すぎて目の前が白くチカチカするような気がする。

火照る顔を冷やしたら、今度は好きな人と抱き合っていたことが思い出されて再び顔から火が出る。

それによく考えたら…もう付き合ってるんだよね…?

恋人同士なんだよね………?

キャァァァァァ…

嬉しい…

ほんとすき…大好き…下川くん…

私が我に返り、教室に走り出そうとすると、私の肩を掴む手があった。

驚いて振り向くと、下川くんが凄く上手な笑顔で私に微笑みかけていた。

私がどうしたのと聞く前に彼は言った。


「こちらこそよろしくね。僕の可愛い彼女さん。」

下川くんはそう言って、私のあたまを撫でた。

私は緊張と喜びと驚きで何も言えなくなったあと、大好きな彼の胸をポカポカと叩いて、教室に走って戻った。

その日の太陽はいつもより何倍も明るく輝いて見えた。

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