第4話 マモルモノ

 居住空間で牛丼を食べながらテレビを見てるッス。


 番組はニュース。


 内容は、やっぱり新型ウィルスが中心ッスね。


 次々と感染者が現れて、お偉いさんたちは、てんやわんや。


 特効薬がないってのは、不安ッスよね。


 しばらくはこの影響による夜獣やじゅうさんが世界夜セカイヤに出てきそうッス。


 きちんとチェックして対策をとっておくッスよ。


「ごちそうさまッス」


 次のニュースに変わるのと同時に食べ終える私。


「ジュマ!」


 足元のジュマが元気よく答えるッス。


 そして、テーブルにあった丼、箸、味噌汁が入っていた椀消えて、食神のところに返されたッス。


 ニュースは海外の大統領選挙が取り上げられていたッスが、今は直接、世界夜に関係なさそうだし、興味もないんで、私はイスからベッドに移って横になるッス。


「……」


 なんとなくテレビを見る感じ。


 こんな風に新しい出来事が起こると新しい夜獣さんが出現する。


 その時にはきちんと対応しなければならないッス。


 私は諦めるつもりなんてないッスから────。


「全力でぶつかっていくッス」


「ジュマ!」


 私の決意にジュマが、そのとおり! と賛同してくれたッス。


 素直に嬉しいッスね。


 あ、そう言えば────。


 嬉しいというかホッとしたのは、さっきジュマにテレビ画面を通じて見せてもらったッスが、現実世界で暮らす母さんと弟の映二えいじは、感染することなく普段通りの生活をしていたッス。


 当然、マスクはしていたッスけどね。


 そんで、四つちがいの映二は受験生。


 机に向かって一生懸命に勉強していたッス。


 母さんは夜食のおにぎりを作ってたッスね……。


 まあ、元気なのはなによりッスけど。


 うん、そうッス。


 とにかく、いまは私も私のできることをする。


 それだけッス。


 ────また会えるその時まで。


 目線を移し、私はテーブルの上にある写真立てを見る。


 それには母さんと十歳の映二、そして十四歳の私が写っている写真が納められているッス。


 三人で動物園へ行った時のもので、満面の笑顔になってるッス。


 私の守るもの。


 それと同じものが映二の机にも飾られているッス。

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