「本当の別れ」〈リラ×まろん〉
まろん side
「ねぇ、リラちゃん聞いてよ、今日はね……」
そう言いながら、私は彼女の墓石の前に座り込む。
リラちゃんが好きだったお菓子を持って。
私がここで話す内容は
『今日は、川沿いの花が綺麗に咲いてた』
だとか、
『リラちゃんに前おすすめされた本、面白かったよ』
とか、バラバラ。
私の言葉に、返事は帰ってこない。
溢れそうな涙を無理やり押え、笑顔で話し続ける。
30分くらい話して、『また、来るね』と言って、背を向ける。
紫陽花に囲まれた墓地は、彼女のためだけに作られたようで、
とても綺麗で、
美しい。
「僕のことなんて早く忘れてね」
そう背後で聞こえた懐かしい、今にも泣き出しそうな、辛い声。
生前と変わらない、姿。
『忘れないよ、だって大好きだもん』
墓石の上に座り込んでいる彼女に向かって、微笑んで言う。
「ありがとう」
そう言って、彼女は静かに消えてった。
梅雨には珍しい、青く、広く晴れた空。
それは、私たちの本当の別れを表しているような気がした。
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