リラ side

駅のホームに小さく響く、先輩の泣き声。

親御さんの仕事の都合で、違う県に引っ越すらしい。

半袖の服から伸びる白く、細い腕。

その腕に残る、生々しい傷。

かける言葉がみつからず、震える体を優しく抱きしめる。

抱きしめる腕を解いてしまったら、もう会えないだろう。

私まで泣いたら意味が無い。

笑って送り出すって決めたから。

溢れそうになる涙を抑えるように、無理矢理笑顔を作り、言う。

『またね』

（行かないで）

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