「足手まといでごめんなさい」〈こんぷ×リラ〉

リラ side


音のない世界。


光のない世界。

いつからこんな風になってしまったのだろうか。


敵国に捕まり、薬を打たれ、体が使い物にならなくなったのはいつだろうか。


失明してからは時間が分からない。


音が聞こえないから、外で何が起こっているのかも分からない。




……もし、姉さんたちが助けに来てくれたのとしても、私はもう使い物にならないだろう。


音は聞こえない。


目は見えない。


普通の生活すら不可能な私なんて、あの軍にとってはただの足手まといでしかない。


"足手まといになるくらいなら、死んだほうがましだ"


そう思ったが、何も見えない中、手探りナイフを探すのほ難しい。



…私は死ぬ事すら許されないのか。


その絶望から、冷たい床にぺたんと座り込んでしまう。


その直後。



体中に鋭い痛みが走った。


壁の破片や、ガラスの破片が肉に突き刺さる。



……大量の血が流れていく感覚。


だんだん体の力が抜けていく。







「--!!-ラ!!!」








瞼を閉じる直前。



懐かしい声が聞こえたような気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る