「貴方を追いかけて」〈キトラ×七猫〉
七猫 side
目の前で顔に布をかけられ、横になっているのは恋人だった人。
出先で通り魔に襲われてしまい、即死だったらしい。
ご両親は既に亡くなってるし、親族の方とも連絡が取れないらしく、必然的に荷物などは私が預かることになった。
家に帰ってから、彼女の荷物を整理しようと、鞄を開けると、小さめな紙袋が入っていた。
袋を開け、中を確認すると、綺麗な箱に入ったサファイアの指輪。
紙袋の底に丁寧にしまわれた一通の手紙。
宛名に書かれていた名前は
"七猫"
私に当てた手紙と指輪を見て、瞬時に理解した。
この指輪は少し前に私が欲しいなぁ…と呟いたもの。
手紙の内容は、彼女には珍しい丁寧な口調で書かれた、プロポーズの内容だった。
キトラは私に渡す婚約指輪を買いに行った出先で殺されたのだ。
"こんなの、私が殺したのと同じじゃないか……"
そう思うと同時に、私の足は自然と近くの海岸へと動き出していた。
知る人ぞ知る、夕日が綺麗な海岸。
自分への嫌悪感や、犯人への憎悪、色々な感情がごちゃごちゃになりながら、
その海へと、身を投げた。
上から、入る太陽の光に反射して、薬指につけた指輪が、青く綺麗に輝いた。
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