大ニワトリの香草焼き



ナツパ「元々、モンスター自体が仲間にしにきいんだ。一応、種類によっては差があるんだけどな。たとえばグリフィンとかは、頭が良く手懐けやすいんだがなぁ。

ただ、さまよう鎧はさまよう鎧が生まれる環境が特殊すぎて、普通に考えれば無理だな!

たまにゴーレムやスライムを仲間にしてる奴がいるがあれは大体、黒魔法(ユニークスキル)だからな。もしかしたらニイちゃんもそうなんじゃねえか?」


僕はアルパが作った大ニワトリの香草焼きを皿に持ってフォークで食いながら、さっきナツパにしたさまよう鎧についての質問の答えを聞いている。


(黒魔法、、だとしたらさっき習得した浄化する鎧かな?)


ただ、この考えには疑問があった。

何故なら、黒魔法、浄化する鎧、を習得するよりも早くゴンゾは自分に懐いていたからだ。

ただ、浄化する鎧、の能力をまだちゃんと確認してないのも事実だった。


(今、確認しとくか、、、)


食事中で申し訳ないという気持ちを少し含みながら、難波は浄化する鎧の能力を確認する為にステータスを確認する。


ーーーーーーーーーー

黒魔法 浄化する鎧


能力

さまよう鎧の今は亡き鎧の装備主への思いを浄化する。それにより、浄化された鎧は あなたに 鎧の思い出 と 鎧の遺産 を残す。


鎧の思い出


浄化された鎧の、生前の装備主の記憶をあなたの脳に直接フラッシュバックさせる。


鎧の遺産


浄化された鎧の特殊能力の内、あなたが選んだ一つをあなたの 特殊能力 に加える。



浄化した鎧・一覧


ルーマン・リッヒ のさまよう鎧(緑鎧)


ーーーーーーーーーー


(、、、やっぱ違うな。この説明をみる限り、ゴンゾが仲間になったのは 浄化した鎧の能力じゃない。

あと この今は亡き鎧の装備主ってのが気になるな、、ルーマンリッヒもちろん気になるけど)


「すみません。今さっき、さまよう鎧の生まれる経緯は特殊って言ってましたね。どういう事ですか?」


ナツパ「、、そもそも、さまよう鎧は冒険者や勇者や魔法使いが装備してた鎧、武器なんだ。

ただ、その装備していた者が死んでこの世から亡くなった時に、生前まで大事にされてきた鎧や武器、が今は亡き装備主を求めて命を宿す。

これが さまよう鎧 が生まれる経緯って言われてるなあ、、


そして、さまよう鎧にも性格があってな、

例えば生前の鎧の装備主が交戦的だったり、略奪などの犯罪行為をしていた場合は基本的に装備主を探すのは普通なのだが、それに加えて人やモンスターを襲ったりしやすいんだ。

その逆で生前、装備主が穏やかだった鎧は、性格も穏やかで、人やモンスターを見つけても襲ったりはせずに、黙々と今は亡き装備主を探すんだ。

要するに 子は親の背中を見て育つだな。

だから坊主が倒した鎧の装備主はもしかしたら悪人だったのかもしれねえな。」


(なるほど、だから浄化する鎧か、、)


考えるぼくにハシカンが「でっ、どうなの?

この話がキッカケで少しは記憶は戻ったんじゃないの?」


「いやっ、ゴメン、、」


ハシカン「あっ、そう、、」


ハシカンは少し残念そうな顔をする。


ナツパ「で俺の質問のほうはどうなんだ?」


「違うかな、、多分能力じゃないと思います、、」


その発言を聞いて訝しげにナツパが言う。


「そうか、、だとしたら、、ゴンゾは一体なんなんだろうな、、あと難波、、おまえも、、」


ナツパとハシカンがゴンゾとぼくをジッと見ながら考える。


アルパ「こらっ!食事中に長い間箸を止めるな!メシが冷めちまうだろう!」


アルパの軽い怒号に三人ビックリする。


ナツパ「悪い!悪い!」


ナツパが慌てる様にチキンをかきこむ。

それに続いて僕とハシカンがチキンをかきこむ。


ハシカン「すごい美味しいわね!難波!」

明らかに演技っぽくいうハシカン


「ほんとだよ!焼き加減なんかもう最高!

プロだみたいだよ!」


それに続く僕とナツパ


ナツパ「何、言ってるんだ!アルパはプロだよ!普段はクルトンのはずれの町で小料理屋をやってるんだ!」


ハシカン「本当よ!普段は食材をナツパさんに任せて、自分は小料理屋の店主をやってるんだけど、たまにこうやってナツパさんと一緒に狩に出かけるのよ!」


ナツパ「そうだぞ!だから良かったな難波

もし俺だけだったら、こんな美味いもん食えなかったぞ!」


アルパ「もうわかったよ!わざとらしい!いいから、はやく食え!」



僕とハシカンとナツパは同時のタイミングで

「はいいっっ!」と言い早くチキンを掻き込んだ!


あまりにワザとらしい三人の演技にアルパが切れた。ただ料理がうまいのは事実だった。


そしてクリープを含んだグリフィン三人衆は

餌にだされた生オークをついばみながら、

僕らのやりとりをジッと見ていた。


楽しい夜だった。

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