第5話 隠してたこと

気づいていた。

その事に彼は気づいていない。


彼は隠していたつもりかもしれない。

でも、知っている。


他の女と出かけていること。

私とのデートの途中にメッセージのやり取りをしていること。


もちろん嫌だったし、腹が立った。


でも、言えなかった。

今の彼女という立場を手放すのは嫌だったから。


相手の女に心まで奪われてたまるか。その一心で私はあらたへの愛情表現を増やした。


普段言葉に出来なかった「好き」の二文字。

毎日言えるようになった。


デートに誘うのはいつも彼からだったけど、私から誘うことが増えた。


私は頑張った。


でも、ダメだったんだね。

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