第3話 朝とは

 朝。

 「朝」と言ったら、何を思い浮かべるだろうか。

 

 忙しい。

 洗濯をする。

 子供たちのお弁当作り。

 子供たちを保育園や幼稚園に送り出す。

 朝刊を読む。

 今日のスケジュールの確認。

 

「朝」という言葉で、連想すること、あるいはモノは、人によって違ってくるだろう。一日の始まりの朝。私は朝が大好きだ。一日の一歩を踏み出すこと。バス停や駅までの道のり。まるで、まっさらなキャンバスに色を塗っていくかんじ。

 

 通勤ラッシュで、そんなふうに朝を送れないよ!

 そんな心の余裕ないよ!


 そういった声も聞こえてきそうだ。

 通勤ラッシュは私も苦手である。あの押しつぶされる感じ…。「つらい」の一言しか出てこない。また、私は以前、毎朝お弁当を作っていたのだが、誰か私の為に作ってはくれまいか…、なんて思いながらせっせと作っていた。毎朝がへとへとだった。

 突然だがここで、私の朝の過ごし方を公開してみることにしよう。

 

 午前五時起床→やりかけの趣味(刺繍)に手をのばす。ひたすら縫う→午前六時、職場に行く為の準備をする→準備が終わったら、また趣味の続きをやるか、PCを起こす→午前七時に家族と朝食をとる→午前九時前に家を出る(出勤時間は遅めなのです)。…とまあ、こんな具合で朝を過ごしている。メリットは、自宅を出る時間が遅めで、早起きした日は趣味をすることが出来ることだ。


 夜の方が好き、という人も多いだろう。特に“作家さん”は、夜型が多いと聞く。夜の方が静かで集中出来るからだと考えているが、本当のところ、どうなのだろうか。


 さて、これを書いているのは午後八時頃。私は徐々に眠くなってくる時間帯である。いえ、まだ寝ないですよ?さすがに。もし今寝たとしたら、確実に午前三時頃に目覚めて、刺繍をし始めることでしょう。刺繍妖怪に変貌してしまうでしょう。

 ここまで書いてきて、ふと不安になった。この文章を読んでくださった方が、「この人、なんだかラクそうな毎日を送っているなあ」なんて、思ったとしたらどうしよう。

 これでも人並みに、いやそれ以上に辛いことを、背負ってこれから生きていかなければならない。

 だからこそかは分からないが、一日の始まりの朝を、もっと大事に過ごしたいなと考えている。そううまくいかないこともあるけれど、その日の自分の人生が目覚めてから始まると考え始めると、ものの見方が変わってはこないだろうか。

 

 頬を撫でる風。

 新鮮な空気。

 歩いている人が少ない、しーんとした道。

 私以外、誰も青になるのを待っていない信号機。

朝はなにもかもが、新鮮だ。空気も、心も。そんなふうなことを感じながら毎朝を送りたい。これからもずっと。そして、この文章を読んでくださった方が、たとえ忙しくても、少しでも朝を素晴らしく過ごせますようにと思う。

 

 

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