疑似性行為

 家にいてもマイさんのことを考えない時間は無い

 ご飯を食べている時間、トイレをしている時間、お風呂に入っている時間

 なんなら夢にまで出てきた。


 今の僕ではマイさんと天と地の差があり崖の上の高値の花となっている。

 何とか対等な存在として少しでもこちらを見てくれるように

 努力しなければならないと感じた。

 

 顔を綺麗に整えることが最短道だろうが

 整形をしない限り変えることはできない。

 そんな大金は持っていないし入ってくる予定もない


 まず自分に足りないものは何かを考えることにした。

 

 顔が整っていなくても異性から好意を持たれる人の

 特徴とされるコミュニケーション能力だ


 自慢では無いが、これまで異性とろくに話せたことが無い自分は

 いわゆるコミュ障だと言うことは自覚はしている。


 少しでもマシにするために

 これからはまず店員さんにお礼を言うことから始めよう。


 あと足りないものは、きっと自信だろう。


 これまで何もしてこなかった僕には自信を持てる材料が無い。

 部活を頑張ったわけでもないし、勉強を頑張ったわけでもない。


 何か結果を出したことも無い。


 ネットサーフィンをしていると、近所のジムの広告が目に入る。

 

 確かどこかで運動をすると自信がつくし肉体的にも健康体になる為

 かなり異性に好印象を与えることができると聞いたことがある。

 僕は運動が苦手な方だけど、そんなことは言っていられない。

  

 努力でどうにかできる部分なのだ。

 マイさんに振り向いてもらう為に


 その日の内にネット申し込みを済ませ

 ベッドに横になる。


 もしマイさんと付き合えることになれば、、、と考えていると


 じわじわとパンツ越しに大きく膨らみを帯び始める。

 自然の節理かのように、手が下着の中に引き込まれ、

 硬くなったペニスを皮の上からいじる。

 

 これまでだったら、携帯で動画を見ながらするのだが

 今日は頭の中だけで十分だった。

 むしろここで他の女性の性行為を観ながらマスターベーションをすると

 マイさんが汚された気持ちになると感じ

 

 目を閉じ喫茶店に座っているマイさんを思い返す。

 これまで様々な動画を観てきたからなのか

 裸体を想像するのに時間はかからなかった。

 

 そして次は声を作り上げていく。

 マイさんの声を、性行為をしているときはどんな声を出すのだろう。

 どんな表情をするのだろう。

 

 そんなことを想像して下着の中ではおさまりが効かなくなった

 ペニスを下着から出し皮を上下に動かす。

 

 脳内でマイさんが乱れる。

 片方の手を自分の胸を触り出し乳首に刺激を与え

 単調な動きに少し変化をあたえる。


 ものの数分で脱力的な快楽と睡魔が全身に押し寄せる。


 徐々に気を失っていく感覚がうっすらとある。

 まだ歯を磨いていないが、今から洗面所まで行き歯を磨くことが億劫になり

 そのまま寝てしまいたいと第2の欲求が体の行動を制御する。


 閉じている目の皮膚を通じて光を一瞬感じる。

 

 何か光ったな


 僕はそのまま目を開けることは無く、再び深い眠りにつく


 暗い夜はまだ明けることは無い

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