第10話 クトゥルフ2

 今日も少女は舟を出す。



 ある日、眠っている少女のお布団に入り込んで来た猫、クーちゃんは魚群探知機として有能だった。



 その日から、里の誰かが舟で漁に出ようとすると、いつのまにか同乗し網を投げるタイミングを指示するようになる。



 クーちゃんの指示に従っている限り、大漁は間違いがなかった。



 その福音はニャーと耳に届き、ピチピチとお魚を大皿に積むのだった。



 ニャー、ブァサッ、ぴちぴちぴちぴち―――



 今日も大漁、明日も大漁。



 クーちゃんは餓えたように、魚類の細胞を体内に取り込み続ける。

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