第9話 クトゥルフ1

 霧の中を一艘の舟が進んでいく。


 船頭は目深に麦わら帽子を被り、口元にはキュウリを咥えていた。


 彼女は河童だった。



 里のみんなの為に大漁を目指し、今回も魚群探知機も備えていた。


 キュウリを片手で掴み、カリッと良い音を立ててひとくち食べる。



 魚群探知機も元気にニャーと鳴いた。



 少女の目がキラリと光り、舟を止める。


 そして残りのキュウリを口に突っ込むと、積んでいた網をバァァッと湖へと投げた。



 魚群探知機がニャアニャアと激しく鳴く。


 これはきている、少女の心臓がドキドキと高鳴った。



 ぐいっと引く。


 重い。



 少女はその重さから舟上には引き揚げず、浮かした網を掴んだまま、帰途につく。


 トラブルもなく、彼女は無事に岸へと辿り着き、待っていたみんなと共に網の幸を収穫した。



 魚群探知機も美味しそうにお魚をパクパク食べながらニャーと鳴く。



 お手柄だね、と相棒の頭を少女が撫でる。


 クーちゃんは嬉しそうににゃあと鳴いた。

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