第6話 あーちゃんと少年2

 その猫はただそこにいた。


 みーちゃんの加護を受けた少年に憑き、隣にいる。



 何故そこにいるのか。


 実況&解説担当だからである。



 この年頃の少年は力を与えられると、自分の意志で世界を守ろうとしてくれるから、昔から便利なのだ。


 電波状況によっては映像の配信がうまく行かない事も多々あるので、語りを期待され猫はそこにいる。


 

 某月某日、突然、空が割れた。


 少年が走り。猫は追う。


 中継である。



 見た事のない生物がふよふよとやってきて、宝石や人間の魂、そしてセミの抜け殻や、上手に紙に描かれた円などを回収している。



 猫の視界が、ちーむに共有された。


 あーちゃんのお仕事の始まりである。



 「にゃー」



 少年はこの後とても良い顔で人々を助け、異世界まで深追いし、二度と帰れぬ旅路となる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る