第4話 調べてみた

「はぁ~どうしよう」

 深い溜息をついているのは真惚まほだ。

 親友のあんに「兄とデートするならどこがいいか」相談してから翌日の日曜日の昼間である。

 2階にある自分の部屋でスマホを使い、調べものをしている。

 魔法少女の衣装を手に入れるべく、兄・真守まさもりをプロ野球観戦に誘うことに決めた。しかし、料金が高い。夏休みに遊ぶことを考えると手持ちで足りるのか不安だ。

 チケット代だけでも一人1000円代、高い席は万を超える。

 せっかく親友の杏に相談して決めたこともあり、ここで諦めるのは悪い気がしていた。

 チケットはべつに安くていい。問題は交通費、飲食費、グッズ代がかかることにある。

「グッズなんているのかな? こんなの最終的にはゴミになるだけじゃん」

 真惚は基本的にはいい子だ。しかし、部屋に一人でいることとプロ野球観戦に行くお金が足りるのかというストレスから毒を吐いている。

「そもそも、私が全額だす必要ないよね。むしろだして貰うのが当たり前よね」

 すでに親友の杏にはお金に関する相談をしていた。祖父母にねがる。親にせがむ。バイトする。どれも乗り気にならない。

「兄とデートするためにお金が必要なんて言えるわけない」


 真惚は一息つこうと一階に下りて麦茶を飲む。

 そこにシャワーを浴びたばかりの兄・真守が真惚と同じように麦茶を求めて来た。休日の部活動を終え、かいた汗を流し終えたところである。

 真守は幼い頃から野球をしており見た目でわかるほどガタイの良い体格をしている。片手でリンゴを握りつぶせそうなほどだ。

「ねぇ~お兄ちゃん」

「ん?」

 麦茶を飲んでいる真守に真惚は声をかける。

 真守はどうでもいい感じに生返事を返した。

しない?」

「ブフゥゥゥゥゥ」

 真守は麦茶を噴き出しむせている。

「え? 大丈夫? お兄ちゃん」

 真惚は真守が突然と噴き出しむせたことに驚きながらも心配する。

「おまえ、突然なに言い出すんだ!」

「だってデートしないと魔法少女になれないんだもん!」

「は⁉」

 言っている意味を真守は理解できない。魔法少女とデートすることがどうしたら結びつくのだろうか。

「無理だ。無理だ。今はそれどころじゃない。もうすぐ大会の予選が始まる」

「部活って。野球部の?」

「そうだ」

現在、季節は6月。7月から始まる野球の夏の予選大会が迫っている。真守が所属する野球部は弱小で1回戦突破できればいい方だ。真守自身、今は本気で野球に打ち込んでいるわけではなかったが、断る理由にするにはちょうどよかった。

「なら大会が終わったあとならいい?」

「ダメだ」

「なんで?」

「妹とデートなんてできるわけないだろう」

「え~」

 引き下がらない妹・真惚に対して兄・真守は思わず本音がでてしまった。

 妹がなぜこんなことを言い出したのか真守は疑問に思う。後日、同じく妹を持つ親友に相談することにした。

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