第3話 親友に相談

「え⁉ まーちゃん、お兄さんとデートするの?」

 真惚まほに対して驚いた形相で言うのは真惚の中学からの親友である栗江杏くりえあんだ。

 土曜日の昼間、杏の部屋でふたりはおしゃべりを楽しんでいる。

 今、話している内容もお喋りのほんの一部で特に印象に残らない限りは時間とともに忘れてしまう。

 真惚は高校一年生で真惚の兄・真守まさもりは高校三年生だ。

 真惚は魔法少女の格好になるためには兄からの愛を感じる必要があることを知り行動している。

「……うん。お兄ちゃんとデートしないと魔法少女になれないみたいで……」

「デートしないと魔法少女になれないのはわからないけど……本気⁉」

「……うん。だから、どこに行くのがいいのか相談したくて、どこに行くのがいいかな?」

「兄とデートしたいという気持ちはわからないけど、一緒に遊びたいという気持ちはわからなくもない……」

 なぜデートまでしないといけないのかはわからないが、親友からの相談を真剣に杏は考える。

 杏にも高校三年生の兄がいる。

 杏は兄とデートしている姿を想像し、デートの基準とはなんだろうと迷走していた。

「……ん~ん~」

 しばらく杏が唸る。困っているように見えて内心では嬉しそうだ。困っている人を放っておくことができない。ましてや親友なら尚更だ。

「……そうだ! お兄さん野球好きじゃなかったっけ?」

「うん。好きで父とよく一緒にテレビで観てる」

「プロ野球観戦しに行ったら?」

「いいね! それ!」

 杏は前々から真惚にお兄さんがテレビで野球を観ていることを聞いていた。リトル時代から現在も野球をしている。

 真惚は野球に興味がない。そこは最近は興味でてきたから、球場で生の試合も見てみたかったとでも言えばお兄ちゃんを釣ることができるだろうと安易に考えていた。

 こうして、真惚は初めてプロ野球観戦に兄を誘うこととなる。


「バイバイ、また、学校で」

 杏の兄である草太は金髪に染めて真惚ほどではないが低身長。そんな兄がリビングのソファで横になりながら読書をしている。

 杏は真惚を玄関先で見送ったあと、兄に話かける。

「ねぇ、兄さん」

「……ん?」

「デートしない?」

「ブフゥゥゥ! するわけないだろ! なんだ急に?」

「そんなはっきり断らなくたっていいじゃない!」

 真惚が兄とデートする話をしていた影響だ。なぜか杏は兄にデートを誘うもはっきり断られてしまう。怒って自分の部屋へと向かった。

 杏の兄である草太は「デートしない?」と言われたが、本当はただ一緒に遊びたかっただけなのかもしれないと思い反省する。

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