第3話 美少女、自称ロリ紳士に委ねられる2

「君の名前を教えて下さい、私は大平小次郎と言います」


自分の胸に手を当てながら、言った。


「□□□□□□」


少女は何か答えてくれたようだが全く理解できない。

言葉も通じないままでは送ることも出来ない。

どうした物かと考えていると少女が何か歌い出した。


とても綺麗な声だな、お持ち帰りしたいぜ。


そう思っていると少女の歌が終わり俺を見つめながら声を掛けた。


『あの・・・私の言葉。。解りますか?』


お?あの歌声と同じ声が頭に響いて来る。


「おお、解るぞなんか頭の中に響いてくる」


『よかった、ちゃんと使えたんだぁ』


「使えた?何をしたんだ?」


『あ、はい、魔法を使って言葉が通じない人と会話が出来るようにしました』


「マジかっ、魔法があるのか!スゲー」


『ええと、あの~』


おおっと、いかんいかん、あまりの事に取り乱してしまった。

俺は美少女を愛する紳士、ダンディズム溢れる好印象を心掛けねば。


「この魔法は言葉を話すと相手の頭の中に意味が伝わるような感じと思っていいのかな?」


『はい、そうです』


「そうか、便利だな」


「では改めて自己紹介をしよう、俺の名前は大平小次郎と言う」


『あ、はいオオヒラコジロウ様ですね、私はアイリスと言います。助けて下さってありがとうございます』


「ああ、いや・・・もう1人を助けられなかった、すまない」


『お父さんは仕方がありません、大平様が助けて下さらなければ2人して殺されていたでしょうから・・・』


『村の生産品も奪われず無事でした、あれを奪われたら村は大変な事になっていたと思います』


「そうか、所でさっき君のお父さんが息を引き取る前に私に何と言っていたんだ?君の事を頼むと言われたような感じだったが」


『はい・・・私はもう長くは無いから、娘・・・私の事をお願いしたいと』


そう言うと思い出したのか涙をこぼした。


「詳しくは道中で聞こう、君を家まで送るから案内してくれ」


『はい、わかりました、よろしくお願いします』


そう言うと道を歩き出した。


「おい、何処へ行く車はこっちだ」


『えっと、ですから私がお車の前を歩いて案内を・・・』


「は?歩いて?」


「そんなに近いところなのか?」


『いいえ、徒歩ですと四半日掛かります』


「四半日?それってどのくらい?」


『1日を4つにした1日です』


4分の一日か・・・って何でそんなに歩く必要があるんだ?


「こいつに乗ればすぐじゃないか」


『えっ?、ですが・・・私のような平民が貴族様のお乗り物に上がる訳には・・・』


「は?貴族?」


『大平様は貴族様ではないのですか?大変立派なお車のようですが馬で牽く事無く進む車があるなんて知りませんでした、きっと大変な魔力をお持ちなのでしょう?』


あ~そりゃそうか、馬車使ってるような世界っぽいし自動車なんて知る筈も無いよな。


「俺は貴族なんかじゃないよ平民ってやつだ、いいから乗りな徒歩に付いて行ってたら夕方になっちまうよ」


助手席のドアを開けて足元の鞄を後部に放り込む。


「ちょっと車高が高いけど慣れればすぐに上がれるようになる」


そう言いながら助手席に上らせる、運転席側から手を伸ばし抱きしめるようにして引き上げながら座らせる。


あ~かわいいなぁもう、このまま何処かにお持ち帰りしたい。


「アイリス、君が進もうとしていた方向に行けばいいんだな?」


『はい、丘を越えた先にある森を抜けると私の住んでいる村が見えてきます』


「わかった、では行こうか」


アイリスを乗せ彼女の住む村へ向かいアクセルを踏んだ。

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